しなやかな足と30mm延長が高速道路を快適に!?
そんなラリー気分をフラットダートで存分に味わってから向かったのは高速道路。今度は、最新17年モデルのCRF250Lと“ラリー”の高速巡航性能を比べてみることにしたのだ。フラットダートであれだけハイレンジな走行ができたのだ。高速道路での走りがよくないワケがないハズだけど?
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年2月16日木曜日
いやはや、はたしてそのとおり。“ラリー”のメインステージはここにあると確信したしだい。速度を上げるほどにピタッと安定する車体。オフロードバイクで高速道路を走ると、どこか不安定な感じがして、ついついハンドルをにぎる手やヒジに力が入るなんてことがよく起こる。これが疲労につながったりして、オフ車は高速道路が苦手…、なんて図式ができ上がる。だが“ラリー”にはそれがないのだ。
もちろん“L”と乗り比べながら走ったこともあるだろうけど、スクリーンやナックルガードがあることでの避風性や空力抵抗だけでは説明できないほど、安定感が際立っている。
一方の“L”の方は、兄弟車両だというのにオフロードバイクらしい挙動となる。そこから“ラリー”に乗り換えると、明らかにフロントタイヤの挙動がしっとりと安定していると感じられる。もちろん減衰力は“ラリー”の方が抜き気味ではあるのだが…。
この安定感の秘密をさぐるべく、右へ左へ車線変更を繰り返していたら、“ラリー”の方がフロントフォークがよくしなっていることに気が付いた。
2台のバイクを停めて、ホイールを押したり引いたり確かめてみれば、“ラリー”のフロントまわりの方がよくしなる。なるほど納得。ラリー化のために30mmほど延長されたフロントフォークがこのしなりを生んでいるというわけだ。ホンダさんに確かめてみれば、従来モデルからアクスルシャフト径は2mmほど太めなものに変更されているものの、それは“L”も“ラリー”も同じとのこと。だとすれば、やはりこのわずか30mmの違いがこのしっとりとした走行フィーリングを生んでいる。開発者の話では、30mm延長による剛性不足を補うために、“L”比で内部のインナーチューブを延長することで剛性不足を補ったという。やはりこの30mmのフロントフォークの長さからくるしなりが、スタビライザーよろしくフロントホイールのブレを吸収して、車体を安定させているというワケだ。
また後日これだけサスペンションがやわらかいと高速道路での2人乗りやキャンプ道具をフル積載したときにどうなのかも知りたくなって、いろいろ試してみたのだが、ネガらしいネガは出なかった。確かに高速道路での2人乗りでは少しだけフロントの荷重が抜けるが、それも不安になるほどの変化はない。タンデマーはともかく、ライダーは少々長めの高速移動をしたって目に見えた疲労は出ないだろう。
いやぁ、CRF250ラリー。フラットダートをかっ飛ばせて、高速巡航性能がメチャクチャ飛び抜けている。コイツはまさに250ccクラスのアドベンチャーツアラーの誕生である。
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※記事の内容はNo.180(2017年3月24日)発売当時のものになります