洗練されたビースト3.0、軽くてパワフルなスーパーNK
2014年初出のビーストが2017年のマイナーチェンジに続き大幅刷新。車体の剛性アップとともに軽量化。電子制御もさらに進化し、パワフルさもやさしさにも磨きがかけられた。
写真:KTMジャパン/文:鈴木大五郎
1290 SuperDuke Rのスタイリング
カラーバリエーション
超絶スペックに怖れるな驚愕の乗りやすきビースト
ボブ・サップという格闘家を覚えていますか? ビースト=野獣と名乗った彼は、いや〜強かった!…かな? 強いことは強かったけれど、なんだかお茶目で憎めないという、愛すべきキャラクターの持ち主であった。スーパーデュークのキャラクターはまさにそんなイメージではなかろうか。筋肉隆々のマッチョボディに1301㏄から発揮されるマッスルトルク&パワーは、スペックだけで見れば恐ろしい野獣…。しかし乗ってみれば…。
見ための印象は大きく変わったとは言えないが、実際は多くの改良が行なわれているビースト3.0。エンジンはトルクの塊と形容されがちであるが、それがドッカントルクではなく、よくまとめあげられている。荒っぽい野蛮さはまったく感じられないものの、実際の力は底なしにパワフルだ。2速か3速か迷うようなコーナーであっても、3速…、いや4速でもこなしてしまうようなフレキシブルさが光る。しかし、そんななか2速を選択してもギクシャクすることなく、軽々と高回転まで回っていくのは驚異的でもある。
車体は大幅に剛性アップが図られ、重心位置も高められたことによる運動性を発揮。従来型よりもラインのトレースがイージーになり、よりディープに攻め込めるようになった。これは車体のアップデートにプラスしてトラコンやコーナリングABSの精度の高まりも関連しているだろう。
サーキットで限界性能を堪能した午前に続き、午後は公道でその走りを味わう。KTMの同列会社であるWPのサスペンションはセットアップの幅が広く、午前中よりもソフトにセット。ライディングモードもトラックからストリートに変更し、マシンを走らせる。先の不透明なワインディングでは、トルクフルな低中速域を使ってのオートマチック的走行が威力を発揮。990時代とは違い、1290になってからは低回転でガクガクッとしてしまうようなこともなかったのだが、そのワイドレンジな使いやすさ、そして鼓動感はしっかり感じられるのに、嫌な振動のないスムーズさにも磨きがかけられている。
公道ではオーバースペックかと思われた車体剛性だが、硬さや振動がまったく感じられなかったのも驚きで、豊かなフィードバックをもたらしつつ、素早い身のこなしを披露してくれたのだ。もしかすると、これがパイプフレームのよさというものなのかもしれない。
我々の先導はこのマシンのプロジェクトリーダーが務めてくれたのであるが、ジェントルマン風に見せてじつにやんちゃな走りを見せてもくれ、そんななかから生まれてきたマシンなのだと妙に納得しながら、うれしくなってしまったのだった。
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※記事の内容はNo.215(2020年2月22日)発売当時のものになります