アメリカのモーターサイクルメーカー、インディアンの歴史は長い。その歴史を物語るのがこのスカウトの100周年記念モデルだ。そうも100年前にはすでにバイクを作っていたのだ。そんなインディアンの最新モデルの乗り味は、とてもライダーフレンドリー。
低回転からトルクフルなエンジンはスムーズかつ気持ちいい加速を見せる
まず最初に断っておくと、今回試乗したのはノーマルではなく、シートまわりとステップに手が入ったカスタムモデルだ。ポジションをコンパクトにるリデュースパーツが、シートとステップに採用されていた。シートは後ろ側の厚みが増したことで着座位置が5㎝ほど前側になり、ステップの取り付け位置は少し後方(ライダー側)にずらしてある。加えてステツプ自体をバータイプからボードタイプに変えたことで、さらに小柄なライダーにも対応できるようになっているのだ。とはいえ、身長170㎝でも窮屈に感じることはなかった。
実際の乗り味については、乗車前、車体を起こす際に装備重量が267㎏にしては意外と軽く引き起こせることにまず驚かされる。重心が低く設定されているからだろうが、押し歩く際もその印象は変わらない。
総排気量1,133㏄のエンジンは、スターターボタンで簡単に目覚める。Vツインというエンジンレイアウトでクルーザースタイルだと、鼓動感の強いエンジンを期待するかもしれないけれど、鼓動感が強調されてはいない。その点は好き嫌いが分かれるところだろう。アイドリングは1,400rpm前後で、ナーバスになることなくそのままクラッチをつないでもすんなりと走り出せる。そんな低回転からしっかりとトルクのあるエンジンなのだ。そのまま、アクセルを開けていけば、スムーズに速度は増していく。もちろんアクセルを急激に開ければ、加速もパワフル。ただし、そんな急加速をしたいと思わせないポジションとエンジンフィールがいい。ただし、そのスムーズな加速によって、“えっ、もうこんな速度に達してたの”となる可能性は高いので注意したいところだ。
高い安定感のある車体によって、気ラクかつ気軽に走り回れる
アクセルとともにスピードをコントロールするブレーキは、フロントリヤともにシングルのディスク仕様で、ローターの径はどちらも298㎜。リヤの径が大きいのは、それだけリヤブレーキの制動力が必要なわけだが、いずれも効き始めから効き具合がわかりやすく、かつにぎり込んだり踏み込んでいった時にも効力が急激に変化しないいわゆるコントローラブルなブレーキと言える。絶対的な制動力も交通の流れに乗って走る分には十分だ。車体の重心が低く安定感があるので、扱いやすいブレーキと相まってナーバスにならずとも停車時にフラつくことなくピタリと止まることができる。また発進時や極低速でも安定しているので、気楽に走らせることこができるのもスカウトシリーズの魅力と言えるだろう。
ハンドリングは入力に対してニュートラルというか、安定志向でクイックに切れ込んでハッとさせられるようなことはない。また、故意にハンドルを激しく振ろうとしても収束しようとする力が強いので、振ること自体が大変だ。裏を返せばそれだけ安定しているということになる。前後方向にしても急ブレーキをかければ、それなりのピッチングモーションが発生するけれど、路面にできた工事跡の凹凸による突き上げが不快になることはほとんどなく、サスペンションがしっかりと仕事をしてくれていることがわかる。
クラシカルなルックス、その高い安定性あるシャーシから、ゆったりと走るのが向いているし、実際にそういう乗り方をして楽しめるバイクというのが乗ってみての印象なのだが、アクセルをガンガン開けても、十分に対応できるポテンシャルを持っている懐の深さがあることも付け加えておこう。
Scout 100th Anniversary Editionのスタイリング
Scout 100th Anniversary Editionのディテール
Scout 100th Anniversary Editionの足つき&乗車ポジション
Scout 100th Anniversary Editionのスペック
- 全長×全幅×全高
- 2,327×1,029×1,076(㎜)
- 軸間距離
- 1,575㎜
- シート高
- 695/708㎜
- 車両重量
- 267kg(燃料100%搭載時)
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒・1,133㎤
- 最高出力
- ─
- 最大トルク
- 97N・m(9.9kgf・m)/5,600rpm
- 燃料タンク容量
- 12.5ℓ
- タイヤサイズ
- F=130/90-16・R=150/80-16
- 価格
- 192万円~
Scout 100th Anniversary Edition製品ページ
試乗キャンペーンも予定
5月1日からバイカーズパラダイス南箱根にて試乗キャンペーンが予定されていて、そこでこのスカウト100thアニバーサリーにも試乗できるとのことだ。
CONTACT
- 問い合わせ先
- ポラリス ジャパン
- URL
- https://www.indianmotorcycle.co.jp