人気のヤマハの大型ATスクーター・TMAXがトラクションコントロールを装備してモデルチェンジ。ノーマルのSXに対して、電動スクリーンやグリップヒーターなど便利装備を追加したのがDXだ。
文:谷田貝洋暁/写真:武田大祐
初のトラクションコントロールが雨に効く!
スタイリング
ツアラー要素を強めた4代目となるTMAX
2001年の登場から16年、国産大型スポーツスクーターの元祖にして、王者のTMAXが3度目となる大幅なモデルチェンジを実施。
4代目となる新型TMAXの大きな目玉は、トラクションコントロールやクルーズコントロール装置をはじめとする電子制御装置の追加&強化。
またメインフレーム&スイングアームといった車体まわりの大幅見直しも行なわれ、メインフレームで2.3kg、ホイールで1kg、またドライブベルトをアラミド繊維からカーボン繊維とすることなどで、トータル7kgもの軽量化が行なわれた。
しかもフレームの刷新にあたっては、よりモーターサイクルらしい走行性能を手に入れるためスポーツモデルのMT‐07の設計者が担当する気合いの入れよう。具体的には、軽快な切り返しや自然な操舵感を向上させるために、スイングアームを40mmほど延長。これにともないエンジン搭載位置を前40mm、上19mmほど移し、キャスター角も25度から26 度へ変更、トレールも6mmほど増やした98mmになった。…と、まぁ難しい言葉を並べてみたが、もはやここまでくると車体的には別のモデルといってもいいレベルの大幅変更である。ただ歴代のモデルが受け継いできた、TMAXらしさもきちんと残されている。とくにラグジュアリーさに関しては、“マスター・オブ・スクーター”をコンセプトにスマートキー機能や、時流のLEDヘッドライトなどを採用するなど、外観をスタイリッシュにブラッシュアップ。よりTMAXらしさが強められた。
今回から、国内モデルはDXとSXの2モデル展開となり、上級モデルのDXには電動スクリーン、クルーズコントロール、シート&グリップヒーターが追加され、DXの名前にふさわしい装備となっている。
このDXで走り出してみる。残念ながら、前出のMT‐10同様、コンディションは完全なるウェット。タイヤが一般的なモーターサイクルに比べて小さいスクーター属。大きめのホイールを装着するTマックスでさえホイール径は前後15インチであり、お世辞にもウェットコンディションに強いとはいえない車体構成である。
しかし、ご安心あれ。今回のモデルチェンジでTMAXは、ヤマハのスクーターモデルとしては初のトラクションコントロール装置を搭載している。こいつのおかげでこんなウェットな路面も安心して走れてしまうのである。
それに従来のTMAXはどちらかと言うと剛性が高めで乗り心地にも高質感の出るフレームを採用している印象があった。それが、ずいぶんと車体がしなやかになり、タイヤの接地感をしっかりと感じながら曲がって行ける。路面状況の悪いウェットコンディションでその変化が感じられるぐらいだから、相当な変革が行なわれているのだろう。
総じて、今回のモデルチェンジでは前作よりもスポーツツアラー的な要素が重点的に強められた印象を受けるTMAX。スクーターとしての街中の使い勝手、そしてこれまでこだわってきたワインディングなどでのスポーツ性能。そして今回新たに加わった、旅の道具としての高速性能と安全への配慮。今回のモデルチェンジで新しいTMAXはさらにその行動範囲を拡げたようだ。
YAMAHA TMAX530 DX/SX ABSのディテール紹介!
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※記事の内容はNo.181(2017年4月24日)発売当時のものになります