さまざまなステージでバイクライフを楽しめる
まずストップ&ゴーを繰り返すことの多い市街地走行では、その足つき性と支えやすい車重で不安がなく、停車時にどこに足を着こうかと考える必要がなく走りに集中できる。これがヴェルシス‐X250に乗って感じたメリットだ。エンジン特性も低中回転域からトルクが出るので、気負わず操作できる。いかつい見た目とは裏腹に、フレンドリーさが光る。リッタークラスのアドベンチャーツアラーは走行性能や存在感は高いが、気軽に乗れると感じるライダーは少数派だろう。同じカテゴリーに属しながらも、気軽に扱えるのはうれしいところ。
今回の試乗ロケは編集部から出発し、高速道路を使って河口湖方面に。高速を降りてワインディングやダート走行を行なうという流れだ。渋滞がちな首都高速を抜け、ようやく高速走行らしいシチュエーションに。アクセルを開けると車速はグングン伸びていく。体が後ろにもっていかれるほどの強烈な加速力を発揮することはないが、それでも高回転域までスムーズに回ったのにはちょっと驚いた。低中速のトルクを考えると“高速の伸びはイマイチ”と想像していたため、見事に裏切られたという感じ。
車体の安定感は高く、荒れた路面や道路の継ぎ目など、一般的なロードモデルよりもストローク量を増やしたサスペンションが衝撃を吸収してくれるため快適性は◎。さらに大型スクリーンやカウルの恩恵もあって防風性が高い。長距離を走るうえで疲労軽減に結び付くので、長距離派ライダーにはアドバンテージになるだろう。ツアラーであればナックルガードが標準装備されているので、早朝のやや肌寒い気温の中でも、手が冷えることなく快適に過ごせたことも付記しておこう。
高速道路を離脱し、そのままワインディングへとハンドルを向ける。フロント19インチ・リヤ17インチホイールを採用するヴェルシス‐X250だが、意外や意外、思った以上にワインディングが楽しめる。前後17インチホイールを採用するロードモデルと比べれば軽快感は劣るが、スムーズにワインディングを走り回れるのだ。高回転域まで伸びるエンジンと、ロードモデルより若干ストローク量を増やしたサスペンションのおかげだろうか。シートにどかっと座った状態から、ロードモデルのようにハングオフしてみると違和感もなく、さらにペースアップできるのもおもしろいところだ。
ここまでの試乗でロードモデルよりのアドベンチャーツアラーだと感じ
“オフロードにおける走行性能は低いのでは?”という印象を持った。車両の置き撮りをした後に、ダートに持ち込んでみた。ヤマハ・セロー250などのトレールモデルと比べると、ロードよりのタイヤを履いていること、オフロード体験が少ないこともあって、おそるおそるダートに侵入。フラットなダートであればロードモデルよりも安心感は高い。フロント21インチ・リヤ18インチホイールを履くホンダCRF250Lのようなオフロードモデルよりも足つき性がいいことも安心感に結び付いている。いざというときに足を出して車体を支えられるから。これならキャンプ道具を積んで、サイトまでバイクで行く気にさせてくれる。ちなみに同行したやたぐわぁは土煙を上げながらフラットダートを駆け抜け、草木が生える道なき道も嬉々として走っていた。テクニックがあればそこそこのオフロード走行も楽しめるのだと思いながら、やたぐわぁが走る姿を見つめていた。
1台でさまざまなステージを快適に楽しめるアドベンチャーツアラーとしての要素をしっかりと持ち合わせ、大排気量車と違って気軽に乗り回せるためビギナーだけでなく、女性ライダーにもオススメできる。車重が重く、車格が大きく、買ったはいいが持て余してしまい、いつしか乗らなくなってしまった…、というのはよく聞く話。ヴェルシス‐X250ならそんな心配はしなくて済むだろう。かつてニンジャ250Rで250ccフルカウルモデルに火を点けたカワサキだが、このヴェルシス‐X250でアドベンチャーツアラーにも火を点けるかもしれない。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年4月27日木曜日
KAWASAKI VERSYS-X250 ABS/TOURERのディテール紹介!
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※記事の内容はNo.182(2017年5月24日)発売当時のものになります