この春からラインナップに加わったストリートロッド。ハーレーダビッドソンはこのニューモデルのメディア試乗会をシンガポールで開催。アーバンスポーツというコンセプトを存分に味わえるシチュエーションで、このストリートロッドをたっぷりと走らせてきた!
文:谷田貝洋暁/取材協力:ハーレーダビッドソンジャパン
ストリートファミリーの新作は寝かせて楽しいハーレーだった
アジア攻略のために考え抜かれた商品戦略
この春行なわれた東京モーターサイクルショーでアンベールされ、その姿を現したハーレーダビッドソンのブランニューモデル・ストリートロッド。
日本では2015年(海外では2014年)にグローバル戦略車として導入されたストリート750のバリエーションモデルである。ストリートロッドへの理解を深めるためには、まずは兄弟車両、ストリート750の話をする必要がある。
数年前、ストリート750に試乗したときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。ハーレーらしからぬハンドリングの素直さ。Uターンのしやすさに、「コレは本当にハーレーダビッドソンなのか? コーナリングにまったくクセがないじゃないか!」とぶったまげたものだ。
メーカーの新作モデルを捕まえて、“コーナリングにクセがない”と評するのもどうかと思うが、ハーレーダビッドソンというブランドに対するボクの個人的なイメージはそんな感じだ。
「俺たちはこんなバイクが好きなんだが、アンタはどうだ?」、「鉄馬を名乗る以上、プラスチックの塊みたいなバイクは作らないぜ」なんて雰囲気でユーザーに媚びない、アメリカらしい強気の姿勢にこそ、ハーレーダビッドソンらしさがある。“お客様第一主義”の日本車とは、まったく違う風土の中で作り上げられた気質を製品から感じるのだ。
だからこそ、ストリート750に試乗したとき、ハーレーダビッドソンというオートバイメーカーが大きな変化をしようとしていると強く感じた。
アメリカ本国、ヨーロッパはもちろんだが、それよりなにより急成長を遂げるアジア地域を攻略するためキチンとした市場調査を行ない、顧客のニーズに合わせてグローバル戦略車として生まれたマシンがストリート750だったというワケだ。実際、ストリート750は大成功。デビューからわずか3年で3万5000台のストリート750が世界中で走っているという。
今回紹介するストリートロッドは、そんなストリート750をベースにしたバリエーションモデル。与えられた命題はずばりアーバンスポーツ。つまり“街乗りで楽しいハーレーダビッドソン”というワケだ。このコンセプトを明確にするために、前回に引き続き市場調査を実施。10ヶ国、3000人からのヒアリングを行なったという。
でき上がったストリートロッドは、ハーレーダビッドソン史上もっとも深いバンク角が確保され、ホイールサイズも類を見ない前後17インチ。フロントの足まわりにはφ43㎜の倒立フォークがセット。…と、なんだか純然たるロードスポーツモデルのようなフィーチャーポイントが並べられる。
さらにエンジンにも手が入れられた。排気量こそ変わらないものの、シリンダーヘッドまわりを見直すことで、高圧縮比と最高回転数の引き上げに成功。最高出力は公表されていないが、ストリート750比で馬力で18%、トルクも8%強化に成功したという。
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※記事の内容はNo.182(2017年5月24日)発売当時のものになります