ハーレー史上最強のコーナリングマシンが誕生!
コーナリングがオモシロいハーレーダビッドソン
試乗会場に選ばれたのは、東南アジア地域の都市国家・シンガポール。アーバンスポーツをコンセプトに掲げるストリートロッドの試乗コースとしてピッタリの場所であるが、シンガポールは日本を含むアジア地域を統括するハーレダビッドソンの拠点がある場所でもある。また蛇足ではあるが、ヨーロッパのイタリアでもストリートロッドのメディア向け試乗会が同日開催で行なわれているという。
実車にまたがってみると、まずハーレーダビッドソンらしからぬ前傾気味のポジションに驚いた。“ドラッグスタイルのハンドルバー…”と技術説明会で受けたほぼ一文字のハンドルは、ドラッグスタイルというよりは、キチンとしたフロント荷重を作り出すネイキッドポジションのためのようだ。ほんの軽い前傾姿勢ではあるのだが、フロントにしっかりと荷重をかけながらコーナーを駆け抜けるストリートロッドの姿が安易に想像できる。
パワーアップされたエンジンは、ハーレーダビッドソンらしいVツインサウンドと鼓動感がしっかりと楽しめるように仕上がっている。アクセルを開ければ、挟角Vツインらしい「ズドドドドッ…」という蹴り出し感の強い加速で飛び出していく。この瞬間こそ、まさにハーレーダビッドソンを感じる場面だ。しかも、その鼓動感が低めの回転数でしっかり味わえるようになっているから、街中で行なう何気ない加速やストップ&ゴーが楽しいのだ。
さて、いよいよ気になるコーナリング。交差点をいくつか曲がっただけで、そのバンク角の深さが実感できた。交差点レベルの速度域では少々マシンを寝かせても、ステップが路面に接触するどころか、その気配すらない。
「ハーレーだから曲がりにくくて…なんて文句は言わせない!」そんな開発者たちの意志を感じる。
キャスター角は27度とストリート750比で5度立てられ、トレール量は99㎜にセット。そんなフレームのキャラクターも徹底的に作り込んだのだろう。コーナリングにおけるマシンの挙動もごぐごく自然で曲がりやすい。
試乗コースには、アップダウンの少ないワインディング区間も組み込まれたのだが、旋回中にタイヤがインに切れ込むこともなく、ねらったラインをキチンとトレースしていく。ほどよい前傾姿勢のおかげで前後のタイヤにかかる荷重のバランスもよく、つねに接地感が感じられるので、楽しくアクセルを開けながら曲がって行ける。
新採用のリザーバータンク付きのリヤショックに関しては、デフォルトの体重設定が85㎏とのこと。試乗中、プリロードを1段抜いたマシンと乗り比べてみたが、体重が軽めの日本人なら、こちらの方がしっかりタイヤを路面に押し付けられるので、アクセルを開けやすいと感じる人が多いだろう。
それにやはりバンク角はハーレーダビッドソン史上最大というだけあってかなり深い。 左側40.2度、右側37.3度のバンク角はやはり伊達じゃない。
ただ「今度のハーレーダビッドソンはそうそうステップを擦りません!」と言われれば、本当かどうかやってみたくなるのが人情というもの(笑)。より大きなバンク角が確保された左側でその深さを確かめる。確かにリーンウィズならともかく、ロードスポーツモデルよろしく、ハングオン気味の姿勢では、かなりのがんばらないとステップが地面に届かない(笑)。旋回中にアクセルを開けて、そのスクワット効果でステップを擦るという姑息な手段までしたところでようやくステップから「ガガッ!」という音が聞こえてきた(笑)。…そこでハタと気が付くのだ。このストリートロッドというハーレーダビッドソンを、他社のロードスポーツモデルと同じ土俵で扱っていることに。ハーレーダビッドソンというメーカーが大きく変わろうとしている。
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※記事の内容はNo.182(2017年5月24日)発売当時のものになります