高速、峠、林道までも。こいつの旅は終わらない
フラットダートはラク勝。その先は技量次第で
さて、いよいよお待ちかねのダートセクションに突入である。結果から言えば、さすがはアドベンチャーモデルとうたうだけはある。フラットダートはかなり走りやすい。まぁ、今号は表紙から特集扉から、ここまで土っぽくしておいて“ダートは走りにくかった!”なんてことは口が裂けても言えないのだが(笑)。
まず第一によく動くかなり軟らかめのセッティングがほどこされたフロントサスペンションと、ブレーキのセッティングがダート路面でかなりいい仕事をしてくれる。峠を攻めるような走りをする場合には若干ブレーキが甘めの設定なような気もするが、これがジャリ道に効くのだ。
というのもロードタイヤを履いたマシンでダート走行して、恐い思いをするのは大抵ブレーキングである。ロードセクション重視の硬めのサスペンションでは、路面にしっかりとタイヤが押し付けられる前に早々とブレーキがロックし、制動力が強まる前の段階で滑り始める。だから、思ったとおりに止まれない、恐い! …なんていった印象を受けるのだ。
その点、Vストロームの足まわりは、絶対的な制動力は変わらないものの、動きが滑らかで、懐が深いぶん制動力のコントロールがしやすい。つまりブレーキ中のタイヤの接地状況をライダーが感じやすいのだ。おかげでロード用タイヤを履いているにも関わらず、速度レンジも純然たるオフ車とはいかないまでもかなり上げられる。
最近のマシンはABSに頼り切りなところが多いなかで、ABSの設定がない(その後2018年に登場)V‐ストローム250はかなり腐心したのだろう。ダートセクションでキチンとブレーキをかけられる車体になっていることがすばらしい。
ただ、それ以上のハードな走行をするとなると、マシンのポテンシャル的にかなりハードルが上がる。もちろんやってやれないことはないし、実際やってみたのだが(笑)、GSR比でマイナス5㎜の160㎜という最低地上高は、ちょっとしたギャップを超える場合にも気をつかう。ガッツリとオフロードで遊んでから言うのもなんだが、堅牢なアンダーガードを取り付けないうちは、あまり無理はしない方がいいだろう。
また高めのハンドルもかなり気に入った。ここまで幅広で大きくアップされたモデルで攻めようとすると、フロントを抑え込んだり、引き上げたりするときに、どうしてもハンドルの剛性不足が気になる。…なんてことがよくあるが、きちんとライダーの操作が伝わる一方で、接地感をはじめとする路面からの情報も受け取れることができた。ツアラーライクなナリだが、きちんとスポーツバイクに仕上がっている。
これはなにもオフロードセクションに限ったことではなく、ロードスポーツとしてもかなり有効。リーンアウトのオフロード乗りはもちろん、ヒザを突き出すようなロード乗りをしても、不足もなければ、ポジション的な違和感がないのもいい。
いやはやV‐ストローム250。コイツが旅の相棒なら、日本中ドコへでも走れてどんな道でも楽しめてしまうだろう。それはタンデムスタイル編集部がバッチリ保証させてもらう!
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※記事の内容はNo.184(2017年7月24日)発売当時のものになります