2015年ミラノショーの登場から早くも1年半。G310Rがようやく日本にやってきた。普通自動二輪で乗ることができるBMWはいったいどんなマシンなのか? そこにBMWのフィロソフィーはキチンと感じられるのだろうか? とにかく走り出してみた。
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
ライバルは250ccクラス、それほどの軽さがある
スタイリング
単気筒の“G”シリーズが久々に復活した!
いやぁ、待ちに待ったG310R。これまで大型メインだったBMWの初のミドルクラスということで、期待している人も多いのではないだろうか? しかもその外車離れした価格にビックリ。装備を見れば確かに液晶がモノクロだったり、光源がハロゲンだったり、コストカットを感じる部分はあるものの、それでもBMWだし、もう10万円くらい高い設定で出てくると思っていたのだ。
それにGシリーズといえば、同じ車体がベースのアドベンチャースタイルのG310GSも次に控えている。こちらの登場時期と価格も気になるところだ。
ここでウンチク。BMWといえば、エンジンの形式で車名の頭文字が決まるメーカーだ。“R”シリーズならボクサーツインだし、“F”シリーズは並列2気筒で、“K”シリーズは並列4気筒だ。では“G”シリーズはというと、こちらは単気筒である。
実はこれまでも“G”シリーズはBMWに存在したことがある。650㏄単気筒を積んだモデルたちで、僕の記憶にあるのはG650クロスカントリー。そいつに乗るまでBMWというメーカーは、“ライダーへの負担を極力減らし、より遠くへ行かせる!”という目的でオートバイを作るメーカーだと僕は思っていた。だからこそ、最新スーパースポーツにだってグリップヒーターを搭載するし、クルーズコントロールだってオプションで付けられる。
ところが、以前乗った“G”シリーズだけがBMWの哲学から逸脱していた。ドコドコというビッグシングルのトルクが地面をかきむしる。お世辞にも快適とは言い難いスパイシーな乗り味。今回のG310Rに乗っていると、そんな“G”シリーズの記憶が鮮明に蘇る。スポーツマインドというか製品の方向性に、同じ香りが漂うのだ。
東京を首都高経由で抜け、御殿場方面へ走り抜ける。なかなかに楽しいエンジンである。単気筒だけあって最高速に関しては2気筒の250㏄クラスと同じくらいではあるのだが、そのキビキビとしたエンジン特性も悪くない。ただ6000回転以上になると、単気筒ならではのアラも目立ってくる。振動だ。高速道路では高回転域を常用することになるのだが、こうなるとミラーによる後方確認が難しくなってくる。ステップから伝わってくる振動もなかなかに強い。でも僕は、そこでついついヘルメットの中でニンマリしてしまう。久しぶりの“G”シリーズじゃないかっ! 妙に懐かしかった。
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※記事の内容はNo.184(2017年7月24日)発売当時のものになります