アドベンチャーデビューはコイツを選べば間違いなし!!
パフォーマンスアップしたエンジン、新採用のトラクションコントロールシステムなど、大きく生まれ変わったニューVストローム650。先代からの変更点や、デザインを共通化したSTDとXTの違いを中心に解説していくぞ!
文:片岡裕介/写真:関野 温
スタイリング※写真はXT
いろんなところがちょうどいい650
強力なライバルたちがひしめくアドベンチャーのミドルクラスに属するVストローム650。同カテゴリーのモデルたちに負けないパフォーマンスアップをはたすため、今回のモデルチェンジは試行錯誤の連続だったという。昨年デビューしたSV650の新技術を投入しつつエンジンに改良を加えており、その点数は60点以上。これによって低中速度域で扱いやすさはそのままに、先代以上の出力・トルクアップに成功。もちろん平成28年国内排出ガス規制にも対応させてのことである。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年8月23日水曜日
実際に走らせてみるとこのエンジン、欲しいところで欲しい分だけパワーが引き出せて非常に楽しい。たとえば急勾配がついたキツい上りカーブでも、アクセルひとつで思いどおりに車体を押し出せるから“バイクを操っている感”がシッカリ感じられる。また下りでは、おだやかで反応のいいパワー特性のおかげで不安なくアクセルを開けられる。ビッグバイクだと下りでアクセルを十分に開けられず、それがかえって不安定な挙動になりやすいけれど、このエンジンにはそれがないのだ。
高速道路巡航でも振動は少なく、ここでもアクセルひとつでねらった位置まで加速できるからパワー不足も感じない。かといってパワーがありすぎて「こんなパワー、どこで使うんだよ」なんてお決まりのセリフも出てこない。
信号の多い市街地でも、発進時や低回転走行時にエンジン回転数の落ち込みを緩和する『ローRPMアシスト』が大活躍…と、どんな道を走っても弱点が見当たらないから「これ1台あればどこでも走れてしまうじゃないか…」と感じてしまった。だがミドルアドベンチャーにおいては、その万能性こそがもっとも重要なのだ。
今回試乗したSTDとXTの違いについてだが、それぞれ異なるホイールを装着しているだけでサスペンションセッティングやABSの介入具合はまったく同じ。つまりホイールとタイヤの違いだけで2つのキャラクターをうまく作り上げているのだ。
STDはキャストホイールらしくライダーの入力に対してクイックに反応し、路面からの情報もつかみやすい。コーナーを機敏に駆け抜けられるのはSTDの方だ。
対してワイヤースポークホイールのXTは入力に対する挙動がおだやかで、路面からの衝撃もSTDのようにカドがあるモノではない。これがオフロード走行でかなり有効で、凸凹に対してタイヤも弾かれにくい。
STDでオフロードを走ると、路面からの突き上げが大きく、ときおりタイヤが路面からフワリと離れることも。XTよりもトラコンの介入頻度が明らかに多かった。
オフロードをガンガン走りたい人は文句なしにXT。ワインディング走行がメインのライダーにはSTDをオススメしたい。ひと口にアドベンチャー好きといってもいろんなライダーがいる。広い要望に応えるためにこの2グレードは存在するのだ。乗り手を選ばない万能エンジンもビギナーにやさしく、加えて100万円を切る価格設定も魅力。Vストローム650はアドベンチャーのエントリーモデルとしてかなり優秀なモデルだといえるだろう。
進化を遂げたVツインエンジン
新型の開発当初はSV650のエンジンを諸元そのままに搭載していたが、中速域が落ちてしまったため、この速度域を強化するところから開発をスタート。結果としてアドベンチャーモデルに必要な低中速域を力強くさせるとともに、さらに上の回転域まで力強く吹け上がるエンジンに生まれ変わっている。開発者の話によると、トップケースとパニアケース装着状態ながらテストコース内では200㎞/hオーバーの最高速を記録したという。
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※記事の内容はNo.184(2017年7月24日)発売当時のものになります