エンデューロ界で最強のオフロードマシンの名前をほしいままにしているオーストリアのメーカーKTM。その主戦力である250ccの2ストモデルが今年からフューエルインジェクション化。バルブがなく、オイルも混合される2ストでそんなことができるのか? その真偽を確かめてみた!
文:谷田貝洋暁/写真:宮崎大吾・稲垣正倫
不可能とされていた2ストロークエンジンのFI化をたった3kgの重量増で実現
初の2ストロークFIを搭載
2ストロークモデルの250/300EXC TPIに搭載されたのは、2ストオフロードモデルとしては世界初の燃料噴射システム(Transfer Port Injection:TPI)。第一の利点は環境に左右されにくいこと。各種センサーによって最適な量の燃料噴射を行なうとともに、分離給油システムを採用しオイル混合比も80から100:1の間で変動。つまりいつでもドコでもベストなセッティングが出る。またアクセルオフ時に燃料を自動カットするため、最大40%も燃費が向上。2ストモデルの敷居を下げる技術がFI化だったのだ。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年7月26日水曜日
より扱いやすく敷居を下げたKTMの2ストロークモデル
KTMが2ストロークモデルのFI化を研究していることは、数年前からなんとなく聞いていた。同時に、混合気を作るためにオイルとガソリンを混ぜる必要がある2ストは、FI化は難しく、結局のところパーツ点数が増え重量増に。軽量コンパクトという2ストエンジンの“うまみ”がなくなって市販化は難しいだろう…とも聞いていた。だが、KTMは、そんな難題が山積みだった2ストエンジンのFI化をわずか3㎏増でやってのけたのである。
ちなみにFI化の利点は、①標高や気温などの変化で燃調を変える必要がない。②最大40%という燃費向上で給油タイミングが長くなった。③分離給油となりオイル混合の手間がない。④転倒時のガソリン流出がなくなった。
走ってみれば、これまでどおり、低回転域から粘り強く、高回転まで回るKTMらしい2ストエンジンに仕上がっていることに単純に驚かされた。目隠しで空吹かしをさせられ、「どっち?」と聞かれたら、当てられないかも…。そこまで高い完成度なのだ。まぁ、確かに全閉でエンジンブレーキを使いながら減速する場面から、アクセルをワイドオープンしたときには、ほんの一瞬だけ、ツキが遅れることもあったが、それもFI化によるものなのか、シチュエーションによるものなのか? いずれにせよ、その程度の変化である。
違いといえば、シックスデイズモデルに付いているマップ切り換えスイッチの違いが非常にハッキリとわかりやすくもなっている。スタンダードとアドバンスではやはりスタンダードの方がマイルドに感じるのだ。
2ストモデルを扱いやすくし、敷居を下げたKTM。エンデューロへのエントリーユーザーにとっては朗報だ。
KTMの18オフロードモデルの試乗会で北海道にきています。いやぁ、いい天気にいいロケーション。新型の2ストロークマシンもいいし、サイコーです!
Under400さんの投稿 2017年7月25日火曜日
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※記事の内容はNo.185(2017年8月24日)発売当時のものになります