ドゥカティのディアベルシリーズに、同じくイタリア発のアパレルブランド・ディーゼルとのコラボレーションモデルのディアベル・ディーゼルが世界666台限定で登場。当たり前だけど念のため断っておこう。ディーゼルだけどディーゼルエンジンを積んでるワケじゃないぜ?
文:谷田貝洋暁/写真:武田大祐
キャラクターはユーロ4対応で、むしろ本国仕様に近づいた!?
異形のディアベルがさらに悪魔らしくおぞましく
なんなんだ? このおぞましいたたずまいは…、初めてドゥカティ・ディアベル・ディーゼルの前に立ったとき我が目を疑った。無機質なステンレススチールが張り合わされたタンクまわりは、これまでのオートバイにはない概念で形作られ、盛り上がる溶接跡とリベットがその無骨さをさらに強調してくる。それでいて、シートに目を移せば、タックロールのパターンと、本革ならではの表情がどこか有機的な生物を連想させる。昆虫かサナギか? いずにせよ人知れず蠢くなにかを連想させる。
そして、その車体はエンジンをスタートさせれば、1198.4㏄の力強い90度Vツインによってブルブルと震え出すのだ。まさにディアベル。悪魔の名前にふさわしい存在感である。
おもしろいのは、このディアベルを引き合わせる人ごとの反応が両極端なこと。つまり眉をひそめるか、ナニコレ!? すげぇ! と目を輝かす。そのどちらかなのである。アパレルメーカー・ディーゼルとドゥカティがコラボレーションするのは、前回のモンスター・ディーゼルに続いて2回目のことだ。両社がイタリア発のブランドであることからスタートした試みだが、今回はディアベル・ディーゼルに合わせた、ドゥカティ専用のカプセル・アパレル・コレクションも登場させるというからそちらも実に楽しみである。
ユーロ4対応車に乗るのは、今回初めてということもあり、高速道路から一般道、通勤、雨天と1500㎞ほど走らせてみる。車体まわりの基本的な構成は従来から変わらないようだが、エンジンキャラクターは、むしろユーロ4対応後の方が立っているように感じた。というのもユーロ3モデルでは、本国仕様から日本仕様にする時点で大幅なパワーダウンや規制対応を受ける必要があった。しかしユーロ4への移行にともないこれが一本化。つまり本国仕様をそのまま日本でも味わえるようになったというワケだ。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年9月9日土曜日
意外にも楽しかったのがワインディングセクション。ここまで太いリヤタイヤでは、さぞかし接地感がつかみにくいだろう…と峠を敬遠してきたのだが、ワインディングが逆に楽しいことに気付いてしまった。意外に挙動はすなおでリーンウィズポジションでガッツリ寝かせられるし、バンク角も思ったより深い。なにより荒々しいエンジンフィーリングであるが、適性にトラクションコントロールが介入してくるおかげで、少々リヤの接地感がつかみにくかろうかなんだろうが、電子制御さえ信用できればアクセルをワイドオープンしていける楽しさがある。
トラコンとABSの設定が変わるライディングモードは3種類。雨の日や街乗りなど穏やかな出力特性と、早めの介入を行なうアーバン。少しアグレッシブさが強調されるツーリング。そしてハイパワーで刺激的なスポーツモード。いろいろモードを切り換えてみるとパワーの変化も顕著に表れる。これこそがユーロ4の恩恵か…。
ワインディングセクションでも、アーバンから、スポーツまでいろいろなモードで走ってみたが、やはりスポーツモードの加速感がスパイシーで楽しい…というか、その一筋縄でいかない強烈なエンジンの扱いにくさが、いちばんディアベルらしく感じるのだ。
「乗りこなすのか? 乗せられるのか? お前はどっちのライダーだ?」。アクセルを開けている間、ディアベルにそう問われ続けられた気がした。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年9月9日土曜日
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※記事の内容はNo.186(2017年9月23日)発売当時のものになります