HONDA LEAD125

HONDA LEAD125 走行

アンダー400 No.81掲載車両(2020年3月6日発売)

1982年に原付一種から始まったリードシリーズの歴史。ホンダのスクーターを牽引してきたが、現在は125㏄モデルのみがラインナップされている。熟成を重ねてきた現行モデルの実力を試してみた。

文:横田和彦/写真:関野 温

上品かつ軽快な走りと実用性がコラボレート

堅実な作りと安定した走りを持つコミューター

1982年のバイクブームまっただ中に生まれたリードシリーズ。直線基調の角張ったデザインをもつ大柄なスクーターだったが、装備の豪華さと安定した走りで人気に。有名なプロテニスプレイヤーを起用したCMも話題になった。年々進化し、現在の仕様になったのは2013年。スタイリッシュさと高い利便性、経済性を兼ね備えたコミューターとして全面改良された。

 

HONDA LEAD125

 

スラントしたフロントカウルにある大胆なV字型のラインが目を引く。その中にはLEDデイライトやウインカーが配されている。ヘッドライトはハンドルマウント。つねに進行方向を照らしてくれるので、夜間に街灯が少ない路地などを走るときに便利だ。

 

流れるようなラインで構成されたボディは凝縮感がありスタイリッシュ。ライディングポジションは上半身にはゆとりがあるが、フラットなレッグスペースは前後に狭い印象を受ける。窮屈というほどではないが、自由度は少し低い感じだ。

 

エンジンをかけると排気音が静かで上品な印象を受ける。音のせいで頼りない感じを受ける人がいるかもしれないが、実際は低回転域からトルクフルな特性。アクセル操作とのタイムラグも最小限で、なめらかに吹け上がって車速をスーッと伸ばしていく。あまり注目されないが、コンパクトにまとめられた水冷エンジンには最新技術が詰め込まれていて、低燃費性能にすぐれている。アイドリングストップもその一環。スクーターには過剰な装備という人もいるが、チリも積もれば、だ。再スタートのすばやさなどホンダの技術力の高さをあらためて実感する。

 

ハンドリングは安定志向だが、ダルさはない。交差点を曲がっているときもサスペンションがちゃんと仕事をするので挙動はバタバタしすぎず、そこそこのペースで走っても不安はない。前後連動ブレーキも自然なフィーリングで、とくに意識することなく車速を調節できる。難しいことを考えず自然体で走らせられるというのはシティコミューターにとっては重要な要素だ。

 

キャラクター的にガンガン攻めるタイプじゃないのは百も承知だが、あえてハイスピードでのコーナーリングを試みた。するとフレームや足まわりは簡単に音を上げず、操作しだいでは思った以上にクイックに走れることが判明。ジェントルなフォルムの中に適度なスポーティさが隠されているのだ。

 

比較的スリムな車体ながら、シート下のラゲッジスペースは大容量。形状にもよるが、ヘルメットを二つ入れることができるほど大きい。通勤や通学の荷物はもちろん、ちょっとした買い物にも重宝するだろう。

 

その昔、ゴージャスな装備でスクーター界をにぎわせたリードは“利便性が高いコミューター”という基本コンセプトを大きく変えずに、現代のレギュレーションや使用状況にあうカタチに進化していた。

 

HONDA LEAD125のディテール

GOOD POINT
HONDA LEAD125 リヤショック
競争が激しい原付二種クラスは車両価格も重要な要素。そのため各部でコストと品質のバランスが追求されている。当然サスペンションもその対象になるので、減衰や剛性の不満を感じるモデルもあったりする。しかしリードのサスペンションはシッカリしていて、品のいいフィーリングを味わえた

 

HONDA LEAD125のソフト面をチェック

乗車姿勢
HONDA LEAD125 乗車姿勢
身長166㎝/体重70㎏
コンパクトでスリムな車体ということもあり、ライディングポジションの自由度はそれほど高くない。上半身はリラックスできる余裕があるけれど、フラットなステップボードの前後長が短めなので足を投げ出すようなフォームはとれず、コンパクトな姿勢になる印象だ
足つき性
HONDA LEAD125 足つき
車体がスリムなのにともなって、シートの高さや幅が抑えてある。それに加えステップボードも絞り込まれているので、足つき性は良好だ。片足ならベタづきで両足でもわずかにカカトが浮く程度。170㎝以上であればまず不自由は感じないだろう
取りまわし
HONDA LEAD125 取りまわし
ハンドル位置はやや低めに感じるが、車重が抑えられているので移動させやすく、多少の段差も難なくクリアできる。車体がスリムなのもメリット。押し歩きのときなどに体を車体の重心に近付けやすいので、バランスをくずしにくい
Uターン
HONDA LEAD125 Uターン
安定志向のハンドリングは、極低速で大きく向きを変えるときの不安を大幅に軽減してくれる。軽量な車体と、アクセル開度にあわせてなめらかにトルクが出るエンジン特性もプラスとなり、バンク角を安定させつつ旋回半径の小さいUターンをするこができた

 

HONDA LEAD125でタンデムランチェック

HONDA LEAD125 タンデム走行
ライダー:横田
シートの前後長が長めなので、圧迫感はそれほど強くはない。リヤサスペンションのがんばりもあって車体姿勢もくずれにくい。低速トルクがあるのでスタートしやすく、加速も上々。ハンドリングも変化が少ない印象だった
タンデマー:淺倉
タンデムステップの位置が絶妙で、シートの座面も大きめ、ホールド性は良好だ。惜しいのは、グラブバーの位置が低めなこと。前後位置は好ましく、形状もすごく握りやすいので、高さがもう少しあれば完璧なのに…

ベテランオールラウンダー濱矢が斬る!

ホンダらしい手抜かりのない完成度の高さ

このサイズで驚くようなシート下トランクスペースの広さ。スロットルを少し開けたらすかさず始動する違和感のないアイドリングストップ。キビキビと加速して、同排気量スクーターの中でも高速域の伸びがいいエンジンとCVTのマッチング。子どもっぽくも嫌味もないすっきりとした造形。同排気量クラスに同社がラインナップしているベストセラー、PCXより少しお買い得でコンパクト。手を抜かず“ホンダだなぁ”と思わせる走行性能と充実した装備なのはさすがだ。PCXとは3万3,000円の差だけれど、気軽に使えるサイズにメリットがあるから意外と迷わないかも。

HONDA LEAD125のスペック

全長×全幅×全高
1,840×680×1,130(㎜)
軸間距離
1,275㎜
シート高
760㎜
車両重量
114㎏
エンジン型式・排気量
水冷4ストロークOHC単気筒・124㎤
最高出力
8.3kW(11㎰)/8,500rpm
最大トルク
11N・m(1.1kgf・m)/5,000rpm
燃料タンク容量
6ℓ
タイヤサイズ
F=90/90-12・R=100/90-10
価格
31万5,700~31万9,000円(税込)

HONDA LEAD125 製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
Hondaお客様相談センター
電話番号
0120-086819
URL
https://www.honda.co.jp/motor/

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