PEUGEOT DJANGO150 SPORT (2021)

PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)走行

アンダー400 No.87掲載車両(2021年3月5日発売)

プジョーはさまざまな排気量のスクーターをリリースしているが、日本に導入されているのは125㏄が中心。そのなかで丸みを帯びたレトロスタイルのジャンゴシリーズには“150”が存在し、日本でも販売されている。その乗り味に迫ってみた。

文:淺倉恵介/写真:武田大祐

他と代えがたい唯一無二のスタイル目立ち度は抜群!

レトロの枠に収まらない他にない個性が爆発!

日本では四輪メーカーのイメージが強いフランスのプジョー。バイク好きであれば、スクーターを販売していることは知っているだろうが、ちょっとめずらしく感じる存在でもある。でも、よく知らないなー、で済ませてしまってはモッタイナイ! 見よ、このスタイル! おフランスのエスプリが漂うデザインは、なんというか古きよきアーリーアメリカン調? ちょっと混乱気味ではあるが、スタイリッシュであることには、文句の付けようがない。

 

PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)

 

このマシンの名はジャンゴ150スポーツ。スペルは“DJANGO”だが、ドジャンゴと読むと恥ずかしい思いをするので要注意。自分は「このバイク、ドジャンゴって名前なんだ~」といって笑われた。恥ずかしいので、ココだけの話にしておいてほしい。ちなみに、ジャンゴは、今回試乗した150の他に、125㏄モデルと50㏄モデルが存在しカラーや装備で排気量以下の名称が異なる。車体のサイズは全モデル共通なので、エンジン以外のパーツを共用しているようだ。車重は150と125が同じ129㎏で、50のみ110㎏と軽量ではあるのだけれど…、一般的な原付スクーターと比べるとかなり重い。走りもそれなりのものになるだろう。ジャンゴを手に入れるなら、150か125の方がストレスなく走れるハズ。どうせ乗るなら、よりパワフルな150がオススメだ。

 

どうオススメかというと、まず個性あふれるデザインで目立つ。柄にもなく、ジャンゴで走るときの装いを考えてしまった。目一杯おシャレをして乗っても恥ずかしくない。というか、キメキメもいいし、あえてラフに乗ってもキマる。すぐれたデザインとは、そういうものなのだ。強引だったろうか? でも、ジャンゴのデザインには、そういう懐の深さがあると思うのだ。

 

で、走りはどうか?という話なのだが、走る・曲がる・止まるのすべてがソフト。まず、エンジン。開け始めのレスポンスが穏やかなので、立ち上がりがソフト。でも、日常使用で多用する速度域はなかなかに元気。40~60㎞/hといったあたりはスロットルに対する反応もいいし、グイグイ加速してくれる。ピーク領域もちゃんと伸びるので、ほぼ全開ではあるけれど、高速道路で100㎞/hのクルージングだって可能だ。

 

エンジンの冷却方式は、今や少数派の空冷。だからというわけではないが、振動は大きい。マシンにまたがってエンジンを始動させると、ブルブルと振動が伝わってくる。エンジンをかけたままセンタースタンドで立てると、びっくりするくらいブルンブルン揺れる。じゃあ、走ったら振動がひどいかというと、そうではないのがおもしろい。走行中は振動も収まるし、回転上昇もエラくスムーズなのだ。おもしろい。

 

車体は基本的に安定志向。直進安定性は良好で、コーナリングはマッタリ気味。ハンドリング自体はニュートラルなので、外車だし“クセがあるのでは?”と恐れることはない。気になったのはブレーキ。初期制動が甘く感じたし、ストッピングパワー自体ももっと強力である方が個人的には好み。ただし、エンジンや車体のキャラクターを考えると、このブレーキ特性が“正解なのかな?”とも思う。ガシガシ攻めるようなマシンではないのだから。

 

と、あえて苦言を呈するようなマネをしてはみたが、ジャンゴを前にするとどうでもよくなってしまう。だって、カッコいいんだもん。オシャレ度の高さは、現行車トップかもしれない。

 

PEUGEOT DJANGO150 SPORTのディテール

GOOD POINT
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)ボディ
シート後端から一旦逆スラントし、クラシック調デザインのテールランプを経て、流麗な曲線を描くボディライン。効率を考えたら無駄が多いのかもしれないが、それ以上にデザインの美しさに見ほれる。サイドに描かれた“55”のゼッケンは、1953年に発表されたプジョー初となるスクーター“S55”にちなんだものなのだそうだ

 

PEUGEOT DJANGO150 SPORTのソフト面をチェック

※センタースタンドに関しては女性ライダーを代表して“加藤”が担当。それ以外の項目は、メインライダーの淺倉が執筆している

乗車姿勢
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)乗車姿勢
身長163㎝/体重57㎏
シート高は低いが、フロアボードがそれ以上に低いので、ヒザの曲がりは緩やか。ハンドル位置は近く、高めの設定のため、上半身はかなり直立した状態になる。シートは中央が凹んだ形状で、着座位置は固定される
足つき性
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)足つき
シート幅がそこそこ広く、エッジが盛り上がった形状なので、足をまっすぐ伸ばしにくいのだが、シート高自体が770㎜と高いこともないので、足つき性は悪くない。足つきが心細い人でも、車重が軽いので片足のみでマシンを支えるのに不安は感じないだろう
センタースタンド
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)センタースタンド
ホイールベースが長めなためやや重たく感じるが、途中まで上げればすんなり成功する。グラブバーのおかげで下ろすのも簡単だ。車体を垂直にし、センタースタンドに体重をかけると自分側へ少し傾くので、一気に上げるのがポイント
取りまわし
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)取りまわし
一見するとボリューム感のあるデザインなのだが、実のところ車格はコンパクトで車重も軽い。押し歩きは軽く、体力に自信のない女性ライダーでも問題ないだろう。ホイールが12インチと小径なこともあり、小回りも得意だ
Uターン
PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)Uターン
ハンドル位置が高く、かつ近いおかげで、ハンドルをフルロックさせても上半身には余裕が持てるので、Uターン時の安心感が高い。車体は安定志向だし、低回転時のエンジン特性がマイルドなので、Uターンは非常にやりやすい

 

PEUGEOT DJANGO150 SPORTのタンデムランチェック

PEUGEOT DJANGO150 SPORT(2021年モデル)タンデム走行
ライダー:淺倉
車体が軽く、サスペンションがソフトな設定なのだが、タンデム時の安定性は意外なほど高かった。長めのホイールベースが効いているのか、基本的に安定方向の車体のバランスがくずれることはなかった。2名乗車時でも、不安なく運転することができた
タンデマー:加藤
ライダーの着座位置と同じ高さのシートは、ふかふかなので座り心地は抜群。圧迫感もまったく感じず、足は開き気味になるが、ライダーの腰をホールドしやすい。グラブバーは頑丈で握りやすいため安心感があり、街乗りタンデムならかなりオススメだ

 

前U4編集長谷田貝が斬る

個性がなくなりがちなスクーターで貴重な存在

見た瞬間“長っ!”と声を上げてしまったくらい、特徴的なロー&ロングなフォルム。…と思ったのだがスペックを見れば全長は1,925㎜で、軸間距離は1,350㎜と目立って大きいワケじゃない。いわゆるデザインの妙というやつだ。ただ、乗ってみるとフィーリングはかなり特徴的。ロー&ロングな見た目どおりの直進安定感というか、ゆったり感がある。スキーもサーフィンもカヌーもそうだが、乗り物は長い方が安定感があり、挙動が穏やかになるものだが、ジャンゴはそこに“ゆったり感”がある。見た目も個性的だが、乗り味もしっかり個性的なのだ。ただ決して乗りにくいワケではなく“味”としてまとまっているところはさすが1898年からバイクを作っているプジョーなだけはある。

PEUGEOT DJANGO150 SPORTのスペック

全長×全幅×全高
1,925×710×1,190(㎜)
軸間距離
1,350㎜
シート高
770㎜
乾燥重量
129㎏
エンジン型式・排気量
空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒・151㎤
最高出力
8.5kW(11.6㎰)/8,000rpm
最大トルク
11.2N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量
8.5ℓ
タイヤサイズ
F=120/70-12・R=120/70-12
価格
42万1,300円(税込)

CONTACT

問い合わせ先
アイディア
電話番号
03-6427-3600
URL
https://peugeot-motocycles.jp

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