男の子の母親同士が部活について話していた。「いやもう大変!」と野球部所属の息子を持つ一人の母が悲鳴をあげる、その理由とは洗濯であった。
野球のドロ汚れがハンパない、他の洗濯物と一緒にも洗えないし、洗濯前に“お風呂の友(入浴中にゴシゴシ洗うことらしい)”は当たり前、しかも部活後に着替える制服も汗や泥まみれ、帰ってきて家にあがる靴下からも泥や砂が汗と一緒に床にこぼれ落ち、体からもホコリや砂が舞い上がり…と、毎日のすさまじい努力が長々と語られた。こうして聞いているだけでもその大変さは十分に伝わってくるので、聞いている皆が一様に「た、大変すぎる…私にはとても耐えられない…」とグッタリうなだれていた。
そんな時、水泳部所属の息子を持つ母親の「よかった〜、うち水泳で!」という一言で、皆の重くなった頭の中に、一枚の水泳パンツがヒラヒラと降ってきた。「そうだね〜こんな(空中に雑巾サイズの三角を指で描く)だものね〜」「塩素で消毒もされているしぃ〜」「最悪乾かすだけでいいわけだしね〜」と、こんどは真逆すぎるほどの楽観的なイメージを受け、部活動恐るべしと身震いをしたしだいである。
が、こんどは帰宅後の息子のようすについて、話の花が咲き始めると、今まで人ごとのように聞いていた私の耳がだんだん痛くなってくる。「トイレに入ったまま疲れて寝る」「モノも言わず放心状態」「風呂に入ろうと服を脱ぎながら、撃沈」「帰ってきて靴をぬいだところで力つきて寝る」「気がつくと床で寝ている」「倒れているのか寝ているのか判断に迷う」…。ま、まずい。彼女らの息子たちに共感できてしまう自分がいる。共感できる…つまり、向こう寄りの人間ということである(汗)。「ホラ見て〜(携帯で画像を見せる)つい撮っちゃった」「やだ〜かわいい〜」えぇ〜…そ、そんな笑い者にもされちゃうの!? (そっそういえば昔、私も会社に泊まり込みのとき、イスを並べて寝ていたら誰かが撮ってくれたっけ…あれはあれでいい思い出ですが…)
それでも何だかんだ言って、最後は思春期の見守り方などを真面目に話している姿を見て、ちょっとホッとしたのだった。ときには笑いも取り入れながら、毎日元気にがんばっている姿がよく“太陽”にたとえられるのも納得である。もう母の日過ぎちゃったけど、ちょっと感謝したくなった出来事でした。