3月11日の震災および原発事故以来、日本人のエネルギーに対する注目度は、以前とは比べものにならないくらい上がっている。ボク自身、恥ずかしい話だが、原発はおろかエネルギー関連の知識はほとんどないに等しかったわけだが、この震災をキッカケにして、そういった分野に注目したり、日ごろの省エネに気を配るなど行動を起こすことは、決して悪いことではないと思うわけである。
化石燃料であるガソリンを消費するライダーにとって重要なことと言えば、やはり燃費をいかによくするかということになるだろう。そこで、先日『所さんの目がテン!』という番組でやっていた「低燃費運転」に関する実験が非常に興味深かったので、ぜひ内容だけでも紹介したいと思う。土曜日の夕方にやっている番組なので、目にした人も多いかもしれないが、番組は低燃費運転と呼ばれるものは、果たして本当に効果があるのか、またどういった条件で成り立つのかを、実際の実験によって検証するという内容だった。実験はクルマで行われていたが、十分バイクにも応用できるので、日ごろ運転する際の参考にしてみるといいかもしれない。
番組で検証していたのは以下の3つ。
急発進 vs ゆっくり発進
一般的には、急にアクセルを開ける行為は、燃費に悪影響を及ぼすとされている。だが、実験では都内の道路を複数のドライバーが、複数回走った結果、急発進を基本として走った場合の方が燃費がよいという驚きの結果になった。この実験結果に対する理由を専門家に言わせると「ゆっくり発進した結果、かえって信号に捕まる回数が増えたから」だそうだが、いやはや不思議な結果である。番組では実際に信号に引っかかった回数もカウントしていたが、確かにゆっくり発進した場合は、平均して信号に捕まる回数も多くなっていた。また番組では数百メートルの短かい距離を走った場合、どちらが燃費がよいかも検証していて、やはりアクセルはゆっくり踏み込んでスタートした方が、燃費が良くなる傾向にあるようである。つまりストップ&ゴーの多い都市部などは、ゆっくりスタートしても、信号待ちなどでアイドリング時に消費するガソリンの方が多くなってしまうと、燃費は悪くなってしまうのである。
アイドリングストップは本当にエコか?
これは昔タンスタでも検証したことがあったが、アイドリングストップは燃費に影響をおよぼすことは間違いない。ただしエンジンを停止させている時間によっては、あまり効果が出ないこともあるそうで、エンジンを止めた分浮いたガソリンの量が、エンジン始動時に使う余分なガソリンの量より多くないと効果は出ない。また、ホンダのPCXのように、メーカーがアイドリングストップを標準機能として組み込んでいる車両なら問題ないが、そういった使用を想定していない車両では、スターターをはじめとする各機構に著しく負担をかけることにもなるので、一概にアイドリングストップがよいとは言い切れないのが実情だ。番組の実験では、5秒以上停止すれば「効果あり」だったようだが、これは車両の個体差の影響も大きいので参考値と思った方がいいだろう。
巡航速度50km/hと100km/h、燃費がいいのはどっち?
これは結果から先にいうと、50km/h巡航の方が燃費はいいという結果が出ていた 。理由は空気抵抗によるもので、速度が2倍になると空気抵抗は4倍になるからだそうである。空気抵抗が増えればそれだけ動力を多く使うことになるため、速度が上がると燃費が悪くなるのだそうだ。また、一般的にクルマは50〜60km/hの速度域でよい燃費が得られるよう設計されている場合が多いそうで、飛ばしすぎは燃費に悪影響を及ぼすことを、頭に入れておくといいだろう。
以上駆け足で番組内容を説明したが、これら燃費に影響する運転方法は、条件によってはあまり効果の出ない場合もあるので、注意して行ないたいところである。また運転の仕方以上に、タイヤの空気圧など日ごろのメンテナンスの影響が燃費に強く反映される場合もあるのでそちらもどうぞ忘れずに。また意外に大きいのは、運転者の体重だ。当然これは乗り物にとっては、軽ければ軽いほど負担が少ないというわけで、減量も省エネにつながるので、心当たりのある人はダイエットも視野に入れたらいいのかもね…(笑)。