暦上ではとっくに秋になっているけど、暑い日はまだまだ続いてる。しかし、関東ではもう足音が聞こえるようなところまできているんだね。朝晩のひんやりした空気、雲のカタチ、虫たちの声、空気が澄んできて月や星のカタチがよりはっきりとキレイに見えるなど、普段気にかけないことにもちょこっと意識するだけでけっこう変化が感じられる。こういった楽しみ方は四季を持つ日本ならではだよね。
ちなみにボクが秋を意識するのは新米を食べたとき(笑)。実家は農業を営んでいて稲刈りといえば昔は家族総出の作業だった。刈り取る時期は今でも変わらず青々した田んぼが黄金色に変わる初秋に行なわれる。機械化が進み、兄が継いでからはめっきり手伝うことが減ったけど、稲刈りは僕にとっての季語のようなものになっている。
その恒例イベントが今年も行なわれ始めたようで、つい先日わが家でも稲が刈り入れされ、初モノを早速いただいた。炊いた釜のフタを開けると立ちのぼる湯気に含まれるお米独特の香り。これでも十分食欲をそそるんだけど新米にはさらに+αが加わる。鮮度のいいご飯だけが持つことのできるスペシャルなスパイス。アツアツを口にして湯気と一緒に鼻からくぐらせてスペシャルな香りを愉しむのだ。決して大げさな例えではなくこの香りだけで茶わん2杯は食べられる。ご飯でご飯をおかずに(笑)。ゆっくり香りを、味わいを愉しみたいから、なるべくおかずはない方がいい。みそ汁とお新香、あとは冷奴かサンマ(小島家では新米とサンマがなぜかセットで出る)があればもう最高の食卓の完成である。
これから味覚がどんどん増える本格的な秋の到来。もちろんご飯以外にも美味しい物がたくさん採れる。ぜいたくな食材が食卓をにぎわすぜいたくな季節。また今年もお腹まわりに蓄えができそうで今から心配である。