とある男の子の話。
小さいころから体格が大きく、クラスではいつも1番後ろかその前。服装は1年を通して半袖短パン。小学2年生のときに盲腸を患い入院したため“6年間無遅刻無欠席”を目指していた男の子の夢は残念ながら早々に断たれることになったけど、学校が大好きで、いつも明るく元気。運動もそこそこでき(逆上がりはできなかった)、授業中も積極的に発言するし、クラスでも周りからしたわれていた。
その男の子が3年生になりクラスみんなの役割を決める3学期初めての学級会で、担任の先生から学級委員に指名され、みんなの前で決意表明することになった。クラスの代表といってもやることは朝と帰りのホームルームのときに「起立、礼、着席」の号令をかけるくらい。1クラス30人程度で、その中から男女1名ずつ学期ごと選出されるから先代の代表だった子4人の姿を見ている。しかし男の子は教卓の前にずっと立ったままである、顔を真っ赤にして。しびれを切らした先生は、もう一人の女の子に話すように促した。女の子はさらっと一言いい席に着く。そしてまた長い沈黙が続き、授業の終了を告げるチャイムが鳴ると、あきらめた先生は自分に続くようにと男の子に言い、並んで輪唱することで長いあいさつはやっと終わった……。
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もうわかると思うけど、これはボクのエピソード(笑)。今でこそ人前に出るような仕事をしているけど、20年前にはこんなことがあったのだ。実は超の付く恥ずかしがり屋で、今でもたくさんの人の注目を浴びるようなことがニガテ。つい先日もイベントの集合写真を撮るため、写る人たちを笑顔にするよう一発芸を披露することになった。トラウマともいえる古い記憶がフラッシュバックし、「沈黙だけは避けなければ!」とレンズをのぞきながら必死に口を動かした。結局周りのサポートや参加者の人たちのやさしさもあってことなきを得たけど、まだまだだなぁと反省させられるひと幕だった。
とはいえ、むかーしは人前に出て話しすらできなかったのだから、格段に進歩しているよね。そしていつの日か一発ギャグで爆笑を…なんて考えてみたり。笑いが取れるようになるまで、また20年くらいかかるのかも(笑)