気持ちのいい店

最近、電車通勤をすることが多いのだが、気持ちよく通える店が帰り道にできた。日本橋にある牡蠣料理をメインとした日本料理屋風の居酒屋で、カウンターで大将と話しながら酒を飲むのがなかなかに楽しいのである。

僕自身、常連になるほど通い詰めているワケではないし、行くのは締め切り明けのほんのたまになのだが、チョット顔を出して行くかなんて気分にさせてくれる店なのだ。というのも店長の人柄すごくよくて、客と距離の取り方というかコミュニケーションがすごくうまい。人間、どうせ客としてお金を払うなら、楽しく飲みたいし、気持ちよくお金を払いたいもの。いい魚を仕入れて、美味しいものを提供するということは、どこのお店でも努力している当たり前のことだろう。そこでさらに作り手であるスタッフの人柄や気持ちが加わると店の価値はぐっと上がると思うし、味や値段のよさと同じかそれ以上に「また来たい」と思うもの。少なくとも僕はそうだ。

楽しい会話のなかで「今日はねぇ、厚岸からいいのが入ってますよ!」といわれれば
「あ、それ下さい」となるし、
「これよかったら」とサービスでなにか出されれば、「おおうまい。じゃぁ、これにあう酒を選んで下さい」と気持ちよく、追加注文もしたくなる。まぁ、それが客商売で、コチラはうまく注文させられているだけなのだろうけど、なんだかこんな店が自分の引き出しに一つあるだけでこっちはうれしくなってしまうものである。

僕らの作る雑誌もこうじゃなきゃなぁ、と日本酒のおかげで思考速度が著しく落ちた頭で考える。面白いもの、ためになることといったみんなの興味がありそうなことを取り上げるのは当たり前だろう。そこにもう一つのプラスα。“コイツが作っているなら…”、なんて人柄を思って雑誌を買ってもらえたら編集者冥利に尽きるというもの。まぁ、現実的には締め切り一つで、ヒィハァとアゴを突き上げている僕にはまだまだ難しい世界だが、そんな世界を目指してもっともっと精進せねばいかんなぁ…。

え? ちょっとまった。これからはアンコウの季節だって? 大将、それはいつからだい? なに、もうすぐ始まる? なんだ、また来なきゃ行けないじゃないのさっ!
大将との小気味よい会話は続く。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

コメント 1件

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    by シモヤンブルース2011/11/3 10:20

    いいですね~。これにあう酒選んでください!なんて言ってみたいな~。なかなかですな!(U4)三宅島の帰りの船の生ビールの飲みっぷりは、印象的でしたね~。 そのうち私と同じのんべい目じりが目立ってきますよ~。。(^-^)

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