いやはや明日から12月、いよいよ今年最後の1か月となった。編集部のある東京はここ数週間で一気に冷え込んできた印象で、例年なら体調を崩すところではあるが、今年はどうにか持ちこたえている。ここはひとつ体が温まるものでも食べて精を付け、このままの調子で冬を乗り越えたい所存である。
食べ物の話でいえば、今気になっているのは秋から冬にかけての風物詩・焼き芋屋である。こんなご時世でも意外と言ったら失礼だが、けっこう人気のある商売で、ボクの身近でも毎年よく見かけるし、あの「や〜きいも〜、やきいも〜」のアナウンス(?)はかなりグッとくるセールス方法だと思う。さらに最近になって普通のさつま芋ではなく「安納芋」と呼ばれる、種子島産のさつま芋を使った焼き芋屋が出てきており、試しに買ってみたらこれがうまいのなんのって、びっくりしてわざわざコラムに書いてしまった次第である。
そもそも「安納芋とはなんぞや」という話だが、安納芋とは種子島を代表するさつま芋のひとつで、水分を多く含み、焼いた芋の触感はすごくクリーミー。生でも糖度が16度前後あるなど、それはそれは人気のある芋なのである。といってもボクは道端で食べてみるまで、まったくその存在を知らず、ネットで調べて初めてその人気のほどを知ったクチなのだが、やはりおいしいものの情報はみな敏感である。 検索すればものすごい数のお取り寄せ情報が引っかかるし、焼き芋のおいしい作り方まですぐ分かる。ホントに便利な世の中である。
さて同じ芋でも、焼き芋はその焼き方によってはおいしさはかなり違ってくる。やはりおいしくいただくには、石焼きが一番なんだそうだが、もちろん電子レンジやオーブン、または炊飯ジャーなどを使ってもおいしく焼くことができる。しかしながら石焼きがなぜおいしいのかといえば、熱した石の上でじっくり焼き上げると、芋のでんぷんを糖に変えるβアミラーゼという酵素がよく働き、麦芽糖と呼ばれる成分が多く生成されるからであり、そうして焼き芋は甘くなるのだそうだ。長年、わざわざ石で焼くのは何か理由があると思っていたが、そんな理由があったとはいやはや調べてみるものである。
さてさてそんなおいしい焼き芋。ボクの中ではどうも「芋=太る」といった図式が浮かぶのだが、実はカロリーは白飯と比べてあまり変わらず、むしろ栄養面では食物繊維を多く含み、ダイエット効果もあるのだそう。むしろ気になるのは、においの気になるアレだが、ここはいっそたくさん食べて、体の中の悪いガスも一緒に放出したらいいのかもね。もちろんどんなものでも食べ過ぎは体に毒ですが。