芸を売る仕事

〆切というものから絶対に逃げられないのがボクらの仕事で、そのためカレンダーどおりに休みをとるというのが難しい。その分どこかで調整しているのだけど、年末とお正月だけは幸い同じように休みが取れるので人と出かけるとか、いつもと違うすごし方ができて充実した休みだったと思う。まさか寝正月というのも嫌だったので、混雑覚悟で浅草に出かけた。外出先での喧騒は圧巻。参拝客の列は参道を真っすぐ抜け、雷門、さらに道路まで通り越すほどの長蛇。さすが毎年テレビでにぎわいを伝えているところだけあって訪れる人たちの数はすごい!すぐ近くには634mに到達したスカイツリーがそびえ立ち、記念撮影する人たちの姿も絶え間なく、お祭り好きなボクはその中を歩いているだけで自然と気持ちが高ぶる。やっぱり日本の新年のにぎわいっていいなと思う。家でゴロゴロしてなくてよかった(笑)。

 

参拝後、せっかく浅草に来たのだから初笑いでもしていこうと演芸ホールに寄ってみると、なんと立ち見が出るほどの盛況ぶり。これまで何回か足を運んだことがあるけどこんなことは初めてだったので驚いた。みんな考えることは一緒なんだなと思いながらなんとか席を見付けるとさっそく芸人さんが出てきて小噺を始める。

 

普段は1人(組)15分程度ある持ち時間も、新春公演ということもあってか、5分程度ですぐ次と入れ替わってしまう。聞くとこの日100人を超える芸人が顔見せで朝から夜まで入れ替わり立ち代わり新年のあいさつと口上を述べているそうで、その短い時間の中でもしっかり笑いを織り交ぜていく。テンポよく話す人、独特な調子で笑いを誘う人、落語以外にも漫才や手品、曲芸など演目はさまざまだ。当たり前のことだけど、みんな自分の“芸”を売って金を稼いでいるんだよなと実感してしまった。彼らにとってはその5分の間で観に来ている人たちにおもしろいと思ってもらわなければならないわけで、「やりたいからやっている」というだけではお金にならないし、生きていけない。まさに真剣勝負の世界なのだ。

 

ボクらの仕事も直接生活に影響がない趣味の世界を提案する仕事である。ひとくくりにしていいものかわからないけど、ボクらもある意味では芸を評価してもらっているようなもので、新年からがんばっている同業者の姿に励まされたし、同時にしっかりやらないとな、とフンドシを締め直す思いだった。

 

そんなわけで、今年もタンデムスタイルをよろしくお願いします!

KJ

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KJ

考えるよりも行動する方が好きな、いわゆる体育会系脳ミソの持ち主。先輩スタッフの破天荒ぶりを脅威と感じながらも、下克上を虎視眈々と狙っている。最近は、仕事と称していろんなバイクに乗っては、「このバイクいいっすね」を口癖に、次の購入ターゲットを思案中。〆切り前はあたふたしていることが多く、布団で眠ることを至上の歓びとしながら、今日もパソコンの前で夢の世界へ旅立つ。

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