ちょっと前の話になるのだが、編集部が入居しているビルで、AEDの操作講習会があったので参加してみた。
AED(Automated External Defibrillator)とは、日本語で「自動体外式除細動器」といい、心臓に電気ショックを与える行為を、専門知識のない一般人でも確実に行なえるようにするための医療機器である。最近では多くの公共機関に設置されており、街で見かける機会も多くなっていることだろう。
有名どころだと、2009年の東京マラソンの最中に、タレントの松村邦洋さんが意識不明の状態におちいったのだが、まわりの方の迅速な対応とAEDのおかげで助かったという話が思い起こされる。もちろんそれ以外にも多くの命が、AEDによって救われているんだそうであり、使ったことはなくても、名前ぐらいは聞いたことがあるのではと思う。
そんなすごいAEDなのだが、ボク自身、話には聞いていたものの、実際にどういう仕組みなのか、どう使うのかはまったく知らなかったので、講習はかなり有意義なものになった。
とにもかくにも心肺蘇生法=AEDではないということ。いきなりずっこけてしまうような話だが、ボクはココを誤解していた。心肺蘇生を試みる場合、とにかくAEDさえ使えばいいというわけではなく、胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)や人工呼吸をしっかり行なわなければ意味がないんだそうである。
最新の心肺蘇生ガイドラインでは、特に胸骨圧迫を最優先して行なうことが推奨されており、コツがいる脈の確認や、躊躇してしまいがちな人工呼吸は、むしろやらなくてもよいとされているんだそうだ。
胸骨圧迫は、人形を使って順番に練習をさせてもらったのだが、思ったよりうまくできない人が多かった。特に力の弱い女性は、体重をしっかり両腕に乗せないと、効果のある回数(1分間に100回以上)と深さ(5cm以上)を達成することができないため、かなり手こずった人が多ったし、男性でも同じ場所を的確に圧迫するには、ある程度練習が必要なのは確かである。ちなみにAEDはスイッチを入れると、「ピッピッピッピッ」と、かなり大きな電子音が鳴るのだが、これは胸骨圧迫を行なう際に目安にするものなんだそうで、電子音に合わせて行なうと、胸骨圧迫で効果のある回数、すなわち1分間に100回のペースでできるんだそうである。
逆に講習会のメインである、AEDの操作はというと、もう間違えようがないくらい親切に設計されているので、ほとんどの人が問題なく操作できると言ってもいいように思う。とにかく操作は音声がナビゲートしてくれるし、電極パッドの貼り方などはピクトグラムで分かりやすく説明されているので、落ち着いて操作さえできればまず間違いはない(まぁ、それが難しかったりもするのだが…)。
むしろ、こういった講習に出て感じたのは、機器の操作方法も大事だが、とにかく正しい知識を持つことが大事だということだ。もちろん人命に関わる場面に出くわさずに済むのならそれに越したことはないが、必要になったときに初めて重要性を認識するようでは本当にまずい。いざとなったときに「コレどうすんだっけ?」とならないためにも、ぜひ一度は講習などで経験しておくことをオススメします。自分がいかにあいまいに理解していたかを、改めて確認できることうけあいです。