最近よく耳にする言葉である。「地産地消」とは、地域生産・地域消費の略語で、意味はそのまま、地域で生産されたものをその地域で消費することらしい。それでというわけではないのだが、ここのところ休日の朝になると、近所の農協に足を運んでみたくなる。わたしのお目当てはもっぱら野菜である。旬の新鮮な野菜が、安いうえに味がしっかりしていておいしいからだ。一度、知人からおすそ分けしてもらって以来、すっかりやみつきになってしまった。
ずらりと並んだ袋にはすべて生産者の名前が記してある。同じ名字の農家が何軒もあるところをみると、兄弟か親戚なのだろうか。名前もユニークで、草木さんや育男さん、茂樹さん、照夫さん…など、どことなく農作物にちなんだ名前が多い気がするのは気のせいであろうか?
もちろんそういう楽しみだけではない。味も格別で一度食べてみれば納得のおいしさである。鮮度がいいからおそらく栄養価も高いのであろう。口にした時に体にしみ渡るエネルギーのようなものが、一気にわたしの気分を元気一色で満たしてくれる。ふだんはついつい忙しさゆえ、枝についた枝豆を塩ゆでするよりも解凍するだけのお手軽な冷凍枝豆をチョイスしてしまう、ものぐさ極まりないわたしなのだが、休日ばかりは鼻歌まじりで枝からプチプチとさやをむしり、塩をまぶしてゆでたての枝豆をざるに盛る。そして「いただきます」、この一言が自然と出てくる。旬のものをいただくということに対して小さな幸せを感じずにはいられない、これがやみつきの理由である。
そういえば昔、事故をしてバイクが走行不能、全身すりキズ血だらけのまま知人の車を待っていたとき、近くの店先でたらいの水にプカプカ浮いていたトマトとキュウリをなんとなく思い出した。店のおばちゃんに「あ〜その手で取らないで〜(衛生上そりゃそうですよね…汗)」と注意されつつ、かわりに取ってもらったトマトとキュウリを苦笑いで受け取り、時間がたつにつれて恐怖でふるえが出てきた手を押さえつつ、まずは心を落ちつかせようとひとかじりした。事故後の凹んだ気分には、泣けるようなおいしさだったなぁ〜。ちょっと血の味もしてね…(しみじみ)。