ニュースで“セプテンバーリスク”なんて言葉を耳にした。なんでも、秋口の気候が不安定な時期に、前日との寒暖の差が激しすぎると起るものらしい。肌寒い日に薄着で風邪をひく…。気温の変化に付いて行けない人体が体調をくずす…、なんてレベルの生やさしい話ではなく、脳溢血や脳梗塞、心筋梗塞なんて命に関わる病気を寒暖の差が誘発するというのだ。
“昨日より寒い”そんなことで生死に関わる病気が発症してしまうとはなんとも恐ろしい話である。まぁ、脳溢血や脳梗塞、心筋梗塞といった病気は、動脈硬化をはじめとした血管の不具合が原因で起る病気だから、何らかの爆弾をもともと抱えていたにせよ、“ちょっと寒かった”なんて理由でいきなり倒れてしまうのは…なんともねぇ。やり切れないものがある。
ただ、そこへいくと我々バイク乗りはこのセプテンバーリスクには強そうなのだがどうだろう? 晴れの日はもちろん、風に吹かれ、雨に降られ、ときには一気に1000mぐらいの峠に駆け上がり、10度以上の寒暖の差を一日のなかで繰り返す。決して寒暖の差をナメているわけではないけれど、バイクで走ることで寒暖の差には一般の人より慣れているような気がする。「チョットぐらい寒いからなんだってんだ?」と、セプテンバーリスクを笑い飛ばせる人が多そうな気がするのは、僕だけだろうか?
万物の法則として、柔軟性を必要とするもののコンディションをたもつためには、動かさないのが一番よくない。日ごろから刺激を与えて動かしているからこそ本来の柔軟性が保てるというものだ。バイクでいえばタイヤなどのゴム製品がいい例だ。乗って刺激を与えてやらないと、どんどん劣化、硬化し、やがてはひび割れて使い物にならなくなってしまう。ゴムタイヤと人間の血管を一緒くたにするのは我ながら、ちいとばかし乱暴だとも思うが、血管や細胞だってそんなものだろう。そりゃあ、冷え過ぎはよくないだろうけど、ワインディングに心躍らせ、全身の毛穴が閉じたり開いたりするのを意識するような激しい寒暖の差を体感することが身体に悪いワケはない。そういや、“脳を効果的に使うバイクに乗る人には若々しい人が多い”なんてことが、ヤマハと東北大の研究で立証されたけど、このバイク特有の寒暖差がカラダにもいい刺激になってるんじゃなんじゃないかなぁなんて、ニュースを聞いて勝手に思ったしだい。
バイクに乗る。それだけで、大変な運動をしなくても、脳もカラダも良コンディションを保つことができる…。なんて希望的観測を多分に含んだ3段論法はムシがよすぎるか? ともあれ、この時期の寒暖の差にはお気を付けあそばせ。