「歳を取ると涙もろくなる」。よく言われる言葉ですが、これは本当です。もうね、ボクがその代表みたいなもんですから(笑)。
今でも覚えているんですが、中学生とか高校生のころのボクは「まったく泣けないヤツ」だったんです。クラスメートが映画やドラマの話なんかをしていると、「○○のシーンがすごく泣けた!」「もう涙でボロボロだった!」などと言ったりするんですよね。でもボクはそのころ、映画やドラマで泣くということが皆無でした。もちろん、感動するとか悲しい気持ちになるっていうのは共感できるんですが、頭の大部分は冷静な自分が支配していて、涙がこぼれるようなことはないわけです。告白してしまうと、おじいちゃん・おばあちゃんが亡くなったときも涙が出てきませんでした。「ひょっとしてオレは、ものすごく冷酷な人間なのかもしれない。人の心を持っていないのかもしれない」と悩んだこともあったのですが、ともかくそれくらい、泣くということはなかったわけですよ。
ああ、それが今ではどうでしょう。たとえば最近の例で言うと、ウチの子供たちがよくDVDで観ている『塔の上のラプンツェル』。もともとはグリム童話らしいのですが、子供たちが観ているのは昨年公開されたディズニーのアニメ映画のやつです。子供たちがこれを観ていると、ボクも横でボンヤリ眺めていたりするのですが…。感動的シーンになると、キュゥゥゥゥンと「来る」のですよ涙腺が!
おいおい、ちょっと待てと。中高生のころは「あくび涙」くらいしか出さなかったクセに、どういうつもりだと。自分の涙腺を問いつめたくなりますよ本当に。さほど集中して観てるワケじゃないんですよ? ときどきテレビの前を離れて何かの作業したりだとか、そんな感じにダラダラと観てるので、ストーリーも大まかにしかわかってないんです。でも! ちょっと感動シーンになると涙腺が即・反応。さすがにお父さんが『ラプンツェル』で涙をこぼすのは恥ずかしいので、「ヤバイヤバイヤバイ」と大あわてです。こういう体の変化って、何なのでしょうね。
とりあえず、若い世代で「あんまり涙もろくない」というみなさん。歳を取るとビックリするくらい変わるので、ご心配なく。