先日、人混み嫌いの友人が、こんどの休みにツタンカーメン展に行くのだとウキウキしていた。間違いなく人混みが予想されるが、それでも行きたくなったらしい。「黄金のマスクが見たいんだよね」コレコレとCMも見せてもらった。なるほど、画面にピカピカ輝いた顔がドーンと映し出されて、これは人混み嫌いも惹かれるわと、わたしはうらやましがっていた。
ところが当日、友人から「マスクは無い」と連絡があった。後日どういうことかと聞くと、友人は長々と語ってくれた。あまりに長いので短めにすると、こういう話である。
朝早く行くと、すでに大勢並んでおり、整理券が配られた。入館まで少し時間があったので、暇つぶしに西郷サンやスカイツリーと写真を撮っていると時間になったので入った。入った先の広間のようなところでまず映像を見せられ、それから奥のドアへ進んだ。最初はまああまり輝きのないものが並べてあった。奥に進むにつれて金ピカ度が増してきた。さあとうとう金ピカだらけだ、いよいよか…!? と気持ちが盛り上がってきたところで、目の前に見えたのは…出口であった!「え、黄金のマスクは!?」もう一度入り口のほうを見てみると、看板に小さく「黄金のマスクはありません」と書いてあった。うそ〜と思って調べてみると、黄金のマスクはなんでも以前ロシアで展示があったときに、傷がついて戻ってきたとかで、 国外には持ち出さないことになったのだとか。え…じゃあ、あのCMの顔は?と思ったら、あれはカノポスという、内蔵を保管する人型の入れ物の顔なのだそうで(汗)。黄金だから間違えた人も大勢いると…なんともまぎらわしい話で(苦笑)。
「でも、黄金のマスク以外でもそれはそれで楽しめたんじゃないの?」と聞くと、「それはそれなりに…そうだけど…」もともとのお目当てが黄金のマスクだっただけに、気分は灰色のご様子。「まあまあこれでも食べようよ…」と、最後の出口で放心状態のまま買ったという土産のお菓子を差し出すと、「あれ、コレ美味しい!」とやっと元気が戻ってきた。これが“花より団子”人間のいいところである(笑)。それはさておき、おかしなことに、友人は「失敗した〜失敗した〜」と言っているものの、わたしは逆に今回の件でどんなもんだかちょっと行ってみたくなった。まあ友人に「また行かない?」と誘ったところでキッパリ断られるんだろうけど(笑)。