テレビやネット、電車の吊り広告を見ていると、日々いろいろな、いろんな言葉が生まれ、登場しては消えていく。「育メン」「なう」「山ガール」とかね。そういや「エコ」って言葉もいつの間にか定着しているけど、少し前までは「省エネ」って言葉がそれだった。新しい単語が生まれるのもそうだけど、その時代に合わせて同じモノを違う言葉で表現するような場合も多いから、さらに大変。確かに「長靴」よりも「レインブーツ」と言った方が、オシャレで「ナウでヤング」(笑)な感じ。実際、モノを見てもカラフルだったり、柄も入っていたりして、製品そのものもプロモーションも「いわゆる従来の長靴とはいっしょにしないでちょうだい!」的な雰囲気もビシビシと感じるのだが…、「レギンスって要はスパッツだし、長靴は長靴だろ?」などと、ミもフタもないことを言いたくなってしまうのは、きっと自分がオッサンになった証拠なのだろう。
まぁ、それはさておき悩むのは、文章を扱うような仕事をしていると、そんな「新単語」の扱いをどうするかということ。「現代用語の基礎知識」に載るような、ある程度世間一般に定着したと見なされる単語から、一過性で一瞬にしてなくなってしまう単語…、そういや「死語」っていうそれ自体が死語になった言葉もあったねぇ。雑誌の仕事をしていると、そんな単語たちを文章のなかにちりばめることになるわけだが、カタカタと文章をキーボードで打っていると、この新単語の変換が効かなくて至極面倒である。たとえば、前述の「いくめん」を変換しても、「行く面」「いく面」「育面」…と「育メン」という単語は当たり前だが出てこない(ちなみに「死語」の変換はスパッとできた)。
とくにバイク雑誌の仕事をしていると変換が効かないような特殊な用語も多いし、とくにその傾向が強い業界なんだろうけど、自分の書く文章で、ひんぱんに使う単語であれば、いちいちカナモードにして打ち込んだり、変換キーをバシバシと何度もたたくのも面倒なので、できれば登録しておきたい。やっぱりね、「りじっとふうさすぺんしょん」は、「リジット諷さすペンション」ではなく、「リジット風サスペンション」と、一発で気持ちよく出てほしいのである。
僕の場合、バイクの車名は無条件に登録。バイク用語やパーツ名も、ひんぱんに使うようならどんどん登録していくワケだけど、ちょっと気になって登録単語数を調べてみたら、意図的に登録した単語だけでなんと2,500語。自動で登録されたものは8,000語以上もある。しかも、ほぼバイク関連の用語で、登録した単語の一覧を見ていると、なんだか使い手の性格が出ているようで、自分のことながらおもしろい。なんだか、人の家の本棚を見ているような気分である。
そこで気になるのは、他の人のパソコンの辞書はどんな単語が登録されているのかということ。専門職の方のパソコンはやっぱり難しい単語や、長ったらしい単語がスパッと出るようになっているのだろうし、サスペンス小説家のパソコンはやっぱり、変換辞書もサスペンス風の衝撃的な言葉がまっ先に出てくるんだろうなぁ。うーむ。これはある意味、自宅の本棚を見られるより恥ずかしいかもしれないなぁ。
あ、そうそう。バイクカタログのスペックに「常時噛合式5速リターン」なんて言葉があるんだけど、この「噛合」ってなんて読むのだろうか? 「かみあい」それとも「ごうごう」? この単語を登録しようと思っているのだけど、キチッとした読みがわからず登録できないでいるんだよねぇ(笑)。いっそメーカーの広報さんに聞いてしまおうか(笑)。