読者みなさま、あけましておめでてとうございます。月刊オートバイ雑誌・タンデムスタイルの編集長をしております、やたぐわぁです。本年もタンデムスタイルをなにとぞよろしくおねがいいたします!
さて、そんなこんなで2018年がスタートしたタンスタ編集部ですが、年頭の恒例行事に、バイクメーカーさんへの挨拶まわりがある。先日はスズキ本社やヤマハ本社のある浜松方面へ行ってきたのだが、その挨拶のついでにヤマハ本社の敷地内にあるヤマハコミュニケーションプラザをぐるっと見学するのも毎年のこと。ここではオートバイに限らず、ヤマハの製品の歴史やレース史、スピリットが学べる常設展があって、一般見学も可能。それに毎回楽しみにしているのが、期間ごとに展示内容が変わる企画展だ。
https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/
今回、僕が訪れたときもたまたま“ヤマハスピリットを二輪広告で感じる・振り返る「温故知新」展”が開催中だった。この企画展、ようはヤマハが自社のオートバイを宣伝するために作ってきた雑誌広告やテレビCMを振り返るというものだけど、いやはやすばらしいの一言だった。80〜90年代といえば、バイクブーム全盛期。僕がこのバイク雑誌編集者という仕事に就く前のことで、それこそ免許を取得したり、読者としてバイク雑誌を読んでいたころだ。当時のバイク雑誌ツーリング記事などはあまり覚えていないのだが、不思議と雑誌やカタログで見かけた広告のキャッチコピーはいまでも覚えている。
思えば、僕自身「オートバイ乗りになりたい!」と思ったのはこんな広告たちの存在がとても大きかったような気がする。当時はバブル景気真っ只中。当然、広告制作に動かせるお金もケタ違いに大きかったろうけど、メーカーが“広告”という世界で作り出す、そのオートバイの世界観はものすごく心に響いたもんだ。とくにキャッチコピーがすばらしかった。この一文とメインカットだけで、頭の中でバイクが走り出し、「俺もバイクに乗らんでどうする?」と思わされるくらいのチカラを持っていた。
実際、自分がオートバイ雑誌の編集に関わるようになって一番感じるのは、雑誌広告やカタログの価値観の変化だ。改めて思い返してみれば、現代のカタログや広告は、どれも同じような構成。安易に情報が発信できるインターネットの普及も大きいのだろうが、ここ数年心に残るメーカー広告のキャッチフレーズに出会った記憶がないのも事実。
ヤマハ歴代のすばらしい広告の数々を見ているとそんなことを考えさせられる。あらためて見てみると、このころの広告にはやはりものすごく力がある。思わず「あのころのキャッチはよかったねぇ…。いろいろ制約も少なかったしさ」なんて目を細めてみる。…のだが、なんだか言いようのない悔しさみたいなものがこみ上げてくるのも事実なのだ。
僕らオートバイ雑誌の仕事は、メーカーが作った製品を雑誌キャラクターやテイストに合わせてどう紹介するか?という仕事だ。一方、メーカー広告は、製品紹介はもちろんだけど、そのモデルにかける思いや情熱、世界観をストレートに表現できる場所だと思っている。車両メーカーが雑誌やテレビといった媒体を使って、雑誌のテイストや縛りに関係なく、自らの意思で自由に表現することが許された唯一の世界なのだ。
オートバイは趣味の乗り物だ。メーカーはいい製品、いいバイクを作るのはもちろんだけど、オートバイというすばらしい趣味の世界観を作り上げるのもメーカーの大切な仕事だと思うのだが、それはもはやロストテクノロジーなのだろうか? なつかしい広告を見ているとそんなことを考えさせられた。
“ヤマハスピリットを二輪広告で感じる・振り返る「温故知新」展”
展示期間:〜2018年1月31日
by コウ2018/3/1 16:58
「この先、260km。水、ガソリンなし」の広告は確かTT250RRaidでしたか。懐かしいですね。
20年くらい前に父親が見ていたオフロード雑誌にその広告が載っていたのを今でも覚えています。
TT関係だと「TTならいけるTTならできる」という広告も覚えています。
エンデューロブーム全盛で、よそより魅力的なバイクをだせば売れるという確信があったからこそ、エネルギッシュで攻めた印象に残る広告が多かったのかもしれませんね。
by やたぐわぁ2018/3/1 18:24
なんだかユーザーがワクワクするような世界観を見せてくれるのが、雑誌広告やカタログだったんですよねぇ。眺めているだけでバイクに乗りたくなったもんです