最低限のリスペクト

「虫を食べる」というと、世の中では一般的に「ゲェー!」というか、気持ち悪がられますよね。日本でもっともポピュラーな昆虫食といえばイナゴの佃煮だと思うのですが、このレベルでももう、拒否反応をする人はたっくさんいると思います。ちなみにボクはというと、世の中の平均レベルか、もしくはやや耐性がある方ではないかなぁ…と思っています。

たとえば、長野県伊那市で食べられている「ざざむし」。川の中に棲んでいる虫の総称で、まぁ見た目はかなり芋虫チックなのですが、以前にツーリング企画で訪れた際、食べました。「まったく抵抗がなかった」というわけではないのですが、何個(匹?)か食べているうちにだんだんと慣れてきて。小さな缶詰を1個買ったのですが、編集部でおやつ的に食べているうちに完食。そのときはイナゴやハチの子なども買ってきたのですが、もちろんこれはどちらも完食しました。佃煮になってしまっているので、基本的な味としては醤油と砂糖の味なんですよね。イナゴの佃煮なんてもう、目隠しをして「小エビだよ」と言われたらまったくわかりません。かすかに草の香りがするかなぁ…というくらいのもので、まったく抵抗なく食べられます。ハチの子も、なんだか卵焼きでも食べているかのような「ザ・タンパク質!」といった味です。やはり日本で広く食べられている種類の虫は、それなりの理由があるんだなぁと思いました。

逆に、完食できなかったものもあります。それは…「カイコのさなぎ」。養蚕の副産物として取れる、マユの中に入っているカイコガのさなぎですね。これは2〜3個は食べてみたのですが、風味がどうも…。釣りをするときに使う「練りえさ」そのものなんですよ。まぁ材料が同じですから当たり前なんですが、カイコのさなぎはあまりおいしく感じなかったですね…、うん…。ともあれボクは、虫を食べるということに対して「死んでもムリ!」というレベルの嫌悪感までは持っていないと思います。まぁ初めてのモノに対してはかなり恐る恐るですが、その地方で長年受け継がれてきた食文化なのであれば、あからさまな嫌悪感を示すのは失礼だろうな、ちょっと試してみようかな、とは思ったりします。

そんなボクが今ちょっと興味があるのが、おもにタイで食べられているという「タガメ」です。田んぼの中とかにいる、タガメ。これをタイ北部などでは普通に食べる文化があるらしいのですが、調べてみるとすごいこと書いてあるんですよね。なんとタガメというのは「まるで洋梨のような、とてもさわやかな香りがする」のだとか! この香りというのはメスの方が強いので、お値段もメスの方が格段に高いのだそうです。いやぁ〜。タガメですよタガメ。知らない人はぜひ画像検索してほしいのですが、アイツが洋梨みたいな香りだなんて、とても想像つきませんよねぇ。積極的に「うまそう! 食べたい!」というわけじゃないのですが、恐いもの見たさというか、ちょっと興味はあるのです。

まぁ今日のコラムで何が言いたいのかというとですね。基本的にその土地の食文化に対しては「できるかぎり、リスペクトを持っていたいな」と思うのです。テレビのバラエティ番組とかだと「そんな食い方、地元の人だってしねぇよ」みたいな感じの調理法をして、お笑い芸人が逃げまどう…みたいなシーンがあったりますが、そういうのはイヤです。意図的にゲテモノに仕立て上げようとしたのは食べたくないのですが、その土地ではわりとポピュラーに食べられているとか、長い歴史があるとかね。そういう食文化に対してはできるかぎり敬意を持っておきたいなぁ…と。もちろん「私は絶対ムリ!」という人もいるでしょうし、そういう人に対して「食えぇぇ!」などとは言いませんが、せめて最低限のリスペクトは持つべきだろうなとは思います。

何だかふと「クジラの竜田揚げが食いたいな」と思い、こんなコラムを書いてみました。世界中から「クジラを食うなんて野蛮人だ! やめろ! 卑怯者!」などと言われ続けていると、どうもそういう気持ちになってくるのですよね。

マンボサイトー

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マンボサイトー

「マンボ」というニックネームはマンボウ似であることから名付けられ、当初はかなり嫌がっていたものの、最近ではそれほど気にならなくなってきた。ビッグバイクよりも中小排気量 の方が好き、人気車種よりもマイナー車の方が好き、というあまのじゃくな性格の持ち主でもある。

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