それなりの準備があると思うのだ

先日、姉妹誌Under400の企画で登山をした。“バイクで登山にいくとアプローチがラクでお手軽だよ”なんてかんじで新しい世界へとライダーを誘う誌面を作りたかったのだが、ちょいと早い冬将軍と突発的な低気圧のおかげであたりは雪景色に…。白銀の雪と快晴の紺碧の空がなんともいえない、さわやかさなページにはなった…。が、バイク乗りを山へと誘うにはほど遠い、言っていることとやっていることがチグハグな、なんとも珍妙なページになってしまった(笑)。

それはさておき、驚いたのはその雪中行軍で出会った他のハイカーたち。僕らは山中一泊の朝イチで頂上を目指したために、帰りは山を登ってくる人たちにたくさんすれ違った。それこそ近年の登山ブームを感じさせる賑わいで、老若男女いろいろな人たちがやってくる。山ガールなんて言葉どおりに女性も多いし、相変わらず中高年にも登山は人気のようだ。ところが、そんななかに、とんでもなく装備が安易な人たちがいるのだ。登山ブームで山にくる人が増えているのは知っていたが、近所を散歩するような格好、「この時期に、この山にくるならせめて登山靴ぐらいは…」と言いたくなるような軽装のハイカーである。夏の山なら百歩ゆずってスニーカーやランニングシューズでもいいかもしれない(登山靴のありがたみを知ってるから僕は絶対イヤだけど)。ただ、この冬間近の圧雪登山道は絶対にまずいだろう。「おっ、あうっ」などと、踊るような仕草で転ばないように両手をぐるぐるまわしながらやってくるのだ。本人も絶対自覚しているだろうし、圧雪を前に「自分の装備では無理」と引き返そうとはおもわなかったのか? 

いやぁ、はたして彼らは無事頂上を踏めたのだろうか? それ以前に安全に家に帰れたのだろうか? 何ごともなければいいのだけど、さっさと下山してしまったた僕らが知る由もないが、すごく気になる。ものごとにはそれなりの準備がいると思うのだ。バイクの装備も同じだよね。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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