我が家のネコが腎臓を患った。やけにエサをどか食いするなぁ、と思っていたら食が細くなり、パタッと食べなくなった。ちょうど、エサの種類を変えたタイミングでもあったので、それが気に入らないことへのハンガーストライキか? 「年の瀬のクソ忙しい時期では春闘にはちょっと早いだろ? しかし、ここはひとつ受けて立とうじゃないかっ! じっくりとなっ!!」なんて強気でいたのは2日目まで。みるみる弱ってヨタつく姿にこっちが狼狽(笑)。4日目でどうにも気になって病院に連れて行くと腎臓が機能しなくなる病気とのこと。なんでもネコには多い病気らしいのだが、水を飲んでも飲んでも腎臓から吸収されず排出されてしまい、脱水症状を起こしてしまうのだとか。…向こうはハンストなどやるつもりはなかったのだ。調子が悪くて食べられなかったのである。…うーん、スマンネコよ。
で、動物病院ではひとまず点滴を行ない、足りない水分を補給したのだが、そのやり方がなかなかすごい。皮下、つまり肉と皮の間に針を刺し、管を通して点滴の水袋から250ccの水を流し込む。点滴というと「ポタッポタッ…」というヤツしか知らなかったので、圧力をかけて1分足らずの間に流し込んでしまうスピードにかなり面食らった。だが、病猫(びょうびょう?)は、背中にラクダのような水袋をこさえられながらも、この水分補給で一気に回復。次第にエサも食べるようになった。
だが、ビックリしたのはそれだけではなかった。先生がこの点滴を早急に自宅でできるようになってくれというのである。僕が? これを? 自宅で? さいわい血にはワリと強いほうだし、他人の骨折なら、ひとまず病院まで動かせるようにするぐらいの応急処置をしたこともある。でもズブの素人が針を刺してどうこうっていうのは…、いかがなものか? だがあいにく、年末年始で動物病院がまとまった休みに入るためにそう悠長なことも言ってられない。3日おきに250ccの水を注入しないとヤツはひからびていくのだ。
仕方がないので、2回目でやり方を覚え、3回目で先生に指導を受けながらやってみる。でもって4回目は家人と自宅でやってみた。一人が猫を逃げ出さないように、抑えつけながら背中をつまんで針を刺し、もう一人が針を刺さったのを確認して液を開放。さらに水袋に圧力をかけて水分をすばやく注入する…。僕の担当は前者。つまんだ背中の皮とカラダのすき間にうまく針を刺さなければいけないのだが、毎回、見事に失敗して、「すまん突き抜けた!」「スマン角度がキツすぎた!」などと、針を刺しなおすコトになる。だが、けなげにも病猫は予想に反して大人しい。これをされるとラクになると思っているのか、あきらめているのかわからないが、「わぉぉおおおおお…」と声にならない声をあげながら、水が背中に注入される間、必死に我慢している。
すまんなネコよ。俺の手は、あまり繊細な仕事には向いていないのだ。だがガンバレこん畜生めっ!! そして早くよくなりやがれっ!