2年くらい前、品川で大学時代の後輩と飯を食べた。そのときに入ったおかみさん一人で切り盛りしている小料理屋が2人ともいたく気に入って、先日も久しぶりに彼と会うことになったときその店をチョイスした。以前行ったとき、そこそこ混んでいたこともあったからか、うるさそうな客が入ってきたとわかったからなのか、「あたしが出したものを食べてね。注文は聞かないよ」と、初見の客とは思えない扱いを受けたことが、気に入った理由に思う。さらにおかみさんの人柄を反映したようなカラッと乾いた感じがする店の雰囲気も、ジメっとしたところが苦手なボクらにはマッチしたのかもしれない。今回、客はボクら2人だけで、おかみさんと3人でいろいろな話題で大いに盛り上がるなんとも楽しい時間を過ごすことができた。
久しぶりに旬なものを口にできたことも、ボクにとっては至福な時間となった。口にしたのはフキとウドで、独特な風味と食感が、ナゼかわからないけれど春を感じさせてくれる。子どものころはその風味を嫌っていたはずなのに、今では“おいしい”と感じのは、なんとも不思議なことだ。このまま歳を重ねて老人となったら、老人は子ども帰りをするとよく言われるから再び嫌いになったりするのだろうか?(笑)
東京を象徴するように高層ビルや小洒落た店が増え、ますます無機質化しているように感じる品川駅前ではあるけれど、探せば人の温かさを感じることのできる昭和な店がまだ残っていたりするのだ。創業40年を越えていて引き継ぎ手がいない店だけに、それほど先が長いとは思えないんだけれど、こういった店ができる限り長く続いてほしいと思うのだ。