イモズル式ワイヤレス物欲

もともとわき上がる物欲を抑えられないタチの僕だけど、とかくワイヤレスという言葉に弱い。というのもコード・ワイヤーがらみでいやな思いばかりしたからだろう。小学生の時にはコントローラーと有線でつながったラジコンカー(?)を断線させて悲しくなり。高校生だった僕にとっては清水の舞台から飛び降りるつもりで購入した舶来物の自転車のスピードメーターのコードをたいして使わずに転倒して引きちぎれ…。バイク用無線のコードを乗降時にあやまって引っぱりすぎて断線。工事現場で働いていたときは、丸ノコで作業中に自身に電源を供給しているコードを切ってしまって作業中断。と…、大きなことはそのぐらいだが、それこそ水道ホースや黒電話ケーブルの捻れから、日々のイヤホンのコードの絡まりといった小さなことまでとにかく気に入らない。なにかに繋がれたコードという状態がいやなのか、とにかくコードレス、ワイヤレスと聞くだけで、もう購買意欲がムクムクとふくらんでしまう。たぶんパンツのヒモやギターのコードがなくなってもちゅうちょなく買うね。その必然性があるとかないとか、多分そういうことは僕には関係ない。見た目に離れた“無線感”があれば用意に僕のワイヤレス物欲は刺激されるようなのだ。

おかげで決して最新機器至上主義というわけではない(と思う)のだが、自転車用のコードレス式のスピードメーターが出たときは喜び勇んで飛びついた。最近はバイク用のナビや携帯電話といった音声ものも、ブルートゥース対応のイヤホン、アウトドアスピーカーなど、つなげられるものはすべてワイヤレスでつなげてニヤニヤしている。

で、その携帯電話が3年目を向かえたところで調子悪くなった。「2年かけてローンも終わったことだしいっそ買い替えるか、それともこのままだましだまし使い続けるか?」と数ヶ月悩んでいたのだが、新型の携帯電話のカタログを開いた途端、コロッと落ちた。僕の心をわしづかみにしたのは、そうワイヤレス充電(笑)。最近の携帯電話にはコードをいちいちつながなくても、台の上に置くだけで充電できる機能を装備しているというのだ。

例によってどういう仕組みはまったくよくわからないのだが、電線をつながなくとも離れた物体にエネルギーを送ることができる、溜められる! というだけで、もうシビレてしまう、あこがれる。だって、コードもないのに電気エネルギーを送れるなんて、僕が子供のころに読んだSF小説に出てきた絵空事の技術ですよ! それがもうこんな一般人の手の届く所まできているなんて…。いやぁ、技術の進歩ってすばらしい! 

で、ですね、試してみると本当にできるんですよ、ワイヤレス充電(当たり前だ!)。確かに有線充電より遅かったり、携帯電話のカバーをしていると充電できなかったり、置く位置にワリと正確さが必要だったりと、これから改善されそうな点はまだまだあるけど、十分実用レベルに達している。こりゃぁ、研究が進んでいる電気自動車の非接触充電の実用化はもちろんだけど、充電式じゃないコードレス掃除機が登場するのも、ワリと近いと感じた次第。

そしてさらに新たな発見も…。どうやらこの携帯電話、動画を撮るゴープロや時計のGショックなんかも操作できるらしいんだよね、もちろんワイヤレスで。…ウフフ、どうしよう。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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