取材からの帰り道、ハイエースの後部座席でボーッとしていると、ラジオから聞き覚えのあるパワフルなイントロが流れてきた。それまでも何曲か聞き覚えのある曲が流れたけど、この曲だけは別格で、なにかで頭をひっぱたかれたような衝撃とともに頭のなかに飛び込んできたのだ。そう、耳に入ってきたというより直接頭のなかに入ってきたという表現がしっくりくる。その後、高校生時分になに気なく開いた新聞に載っていた『The Live 1975-1985』の一面広告の画が浮かんできた。そう、同年代の洋楽にハマった人ならきっと覚えているに違いないステージ上でフェンダーのテレキャスターを脇に持ち、スポットライトを浴びたブルース・スプリングスティーンを真横から写したカットだ。この画こそがもっとも『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を象徴しているように思うのは、ボクだけだろうか?
中学生のころ、初めてラジオで、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を耳にしたとき、サビのフレーズがキャッチーなのとメロディが気に入って、すぐにフェイバリットソングの一曲になった。その後、CDを買って歌詞に目をとおすと(もちろん対訳ね・笑)、キャッチーな曲のなかに、アメリカの苦悩というか美しくない部分もしっかりと表現しつつ、それでもアメリカを愛して止まないという思いが伝わってきて、スプリングステーンってすごいなと感動したのを今でもハッキリと覚えている。
今回、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』に衝撃を受けたのは、きっと今の自分に足りないものを感じたからのように思う。音楽と雑誌というステージは違っても、ボクも表現者の端くれなワケで、読み手に伝えたいことを表現するという点においては、スプリングスティーンとなんら変わらない。だからこそ…、というわけで、がんばるぞ〜!