これまでずっと、通勤の電車の中では小説を読むというのが定番の過ごし方だったのですが、スマホ導入後「いっさい本を読まなくなった」という時期がありました。別に、大したモノを見てるわけじゃないんです。くだらないニュースとかを読んでるだけなんですが、画面をなでさすっているとアッという間に時間が過ぎていくんですよね。一応バッグの中には本が入ってるんですが、一度も開かず、毎日バッグの中に入れて往復してるだけ。もしかしてスマホ中毒になりかけてるのか?と思い、最近では「なるべく車内ではスマホを見ない!」というルールを自分に課して、また読書をするようになりました。
いやぁ、なんかこう、スマホっていうのは麻薬的な依存性がありますね。家でトイレに入るとき(つまり、なんというか、大のときです)にも、ついついスマホを持って入ってしまうようになりました。トイレに入っている時間なんてたかが数分なのに、その数分間の「ヒマ」に耐えられないのです。「数分を惜しんで勉強してる」とかだったらすばらしい人間になれるでしょうけど、ただ「ヒマつぶしがしたい」というだけなんですよね。いやコレ、本当に麻薬的ですよ。あんなモノが存在していない時代は何も不自由を感じていなかったのに、いざ普及すると、手放せなくなってしまう…。文明の利器というのは往々にしてそんなものかもしれませんが、スマホに関してはとくにそれを強烈に感じます。
…と、ここでいきなり話題転換。現在発売中のタンデムスタイルで、僕は長距離フェリーを使ったツーリングの世界を紹介しています。実は長距離フェリーって、スマホの呪縛から「強制的に解き放ってくれる」んですよね。何たって、海上に出てしまえば携帯の電波が入りません。否応なく「ヒマ」な状況に追い込まれるわけです(笑)。しかもそのヒマな時間は、十数時間というレベルで続く(笑)。これは、現代においては逆に新鮮な体験ですよ~。もうね、「寝る」「食う」「ボーッとする」の繰り返しをするしかない。そしてこういうときこそ「本のありがたみ」を感じるんですよね。なんたって、本なら電波もバッテリーも関係ナシ。そこに実在してるわけです。スマホ依存によって体がヒマに耐えられない体質になっているため「本を持ってきてよかった~!」と、しみじみ感じることになります。
まぁそんなわけで、みなさんも今年の夏休みは、長距離フェリーを使ったツーリングをしてみては? たまには強制的にヒマな空間に放り込まれるというのも、新鮮な体験だと思いますよ。