英語を日本語に翻訳変換したような文字をモチーフにしたファッションが海外で意外と人気だとか。実際に見てみると、けっこうその大胆な日本語の扱いに驚く。日本人がこれと同じ日本語を用いて服を作れと言われたら、おそらくこうは出てこないだろう、というくらいカラッと揚がった仕上がりである。日本人はその言葉を”読める”ので、なんとも不思議な感覚があるが、意味を無視して日本語というものをよく見ると、とても美しかったりユニークであったりいろんな表情が見えてくる。そんな味のある日本語を、海外であれば問題なく自由な心で楽しむことができるのだろうと思うと、ちょっと外国人がうらやましい。いや、日本人だって現代の若者であればシャレで受け入れることは案外難しくはないかもしれない。
そういえば昔、親が筆記体で何やら書かれたTシャツを化粧品屋さんかどこかからもらってきたことがあった。小学生だった私には、それがやけに「カッコいい」となり、翌日さっそく学校に着ていったところ、いつも喧嘩相手の男子たちが、なぜかボソボソとささやき遠くからニヤニヤしている。なんだかものすごくキモチ悪くなり、家に帰ってすぐ母に「ねえ、これって何か書いてあるの?」と聞き、カッコいいと感じた筆記体の文字「SEXY」に、そんな(明らかに子供の自分と不釣り合いな)意味があったことに愕然とし「もうこんなの着ない!」と母につき返したのだった。
それが影響を及ぼしているのかは定かではないが、個人的にはこの手のファッションに対して(どんなに有名なブランドがつくろうと)正直かなり抵抗がある。が、あの頃の直感的な自分がこれを見たら、もしかすると気に入るのかな〜なんて思ったり。まあそれはさておき、日本の文化が海外で親しまれていくこと自体は素直に喜ばしいし、どうなっていくのか楽しみでもある。