本棚からあふれんばかりのマンガに囲まれて育ったこともあり、私はマンガが好きだ。高校生で親元を離れて寮生活を送っていたときは、マンガを読むことができない生活に耐えかねて寮内の空き部屋にマンガを持ちより、マンガ部屋を作ったほどだった。
そんなマンガ好きな私だったが、社会人になってからというもの、忙しさを理由にすっかりマンガを読まなくなっていた。引っ越しついでにマンガは売ってしまい、本棚はスッカラカン。そんな寂しい自宅の本棚を、最近一つのマンガが占拠している。週刊少年ジャンプで連載している「ハイキュー!!」というバレーボールマンガだ。内容はいたってシンプルで、バレーにあこがれた少年が仲間やライバルに刺激され、徐々に実力を付けていくというもので、いわば王道スポ根マンガといった感じだ。
なぜすっかりマンガから離れてしまった私がハイキュー!!だけ読んでいるのかというと、ズバリ、いい話だからだ。人間業とは思えないような大技は出てこないし、2m超えの選手が勢ぞろいしているわけでもない。ライバルに血のつながった実の兄がいるわけでもなければ、仲間が大きなケガを負うわけでもない。単純にバレーボールにひたむきになっている主人公や周りの姿に心を打たれるのだ。主人公以外の人物の人柄もとても魅力的で、敵チームをついつい応援してしまう。試合のようすだけでなく、試合後の負けたチームのようすも描かれていることが多く、ひたむきにバレーを愛し、負けてもなお前を向いて進んで行こうとするライバルチームに気付けば涙していることもしばしば。マンガを読んでいる最中は、トスすらまともにできない私がバレーボールをやりたくなるほどに、夢中にさせてくれるのだ。
マンガに影響を受けやすい私は、ハイキュー!!に感化されて社内の有志のみで出場しているマラソンの10㎞の部にエントリーしてしまった。思い切って参加表明をしたのはいいが、後から“走り切れるかのだろうか…”とか“いや、そもそも長らく走ってないし…”とかうだうだと考え始めた。陸上部だったころの面影はいっさい残していないぞ、私。でもまた不安になったらハイキュー!!を読んでやる気を出せばいっか。そんなハイキュー!!頼りのマラソンになりそうだ。