サクラではないよ

先日、鎌倉を歩いていたときのこと。とあるお店の販売に思いがけず協力することになった。そこは新しくオープンしたチョコレートの専門店で、人が多い通りに面しているにもかかわらず、お客さんが誰も入っていなかった。

 

入口には濃厚そうなチョコソフトクリームのポスターがあり、ものすごくおいしそうだ。でもなんだか入りづらい…。人がいないし、店員さんもただ立って通りを眺めている。ウマそうだけどなぁと思いながらも、人通りが多いから立ち止まりづらく、そうこう悩んでいるうちに通り過ぎてしまった。

 

用事を済ませた帰り道、またその店の横を通りかかったが、やっぱり誰も入っていない。ただ、気温が上がって暑かったのでソフトクリームを食べたかった。勇気を出してお店に入り、チョコソフトを注文する。ちょうどお店の前にベンチがあったのでそこで食べることにした。

 

道行く人々が、ソフトクリームを食べる僕を横目で見ていく。しかもめちゃくちゃうまかったから、「これうまい!」とか言っているのである。それからおもしろいように人が入って来るようになった。入口においしそうなポスターがあって、同じものを食べているやつがいて、そいつがうまそうに食っている。なるほど、だから暖かい店内ではなくわざわざ外にベンチが用意されていたのか。おいしかったお礼と思って、精いっぱい通行人にアピールしておいた。結局、人が入っていくと、それに反応してまた人が入っていくという相乗効果でにぎわいを見せるようになった。

 

どれほど魅力的な商品でも、お店に入って来てもらえなければ意味がない。いかにお店に入りやすくするかが大事、ということを思わぬところで体感することになった。

 

翻って自分のことに置き換えてみる。タンデムスタイルとしてイベントでブース出展してグッズを販売させてもらう機会が多々あるのだが、チラッと横目で見て通り過ぎてしまう人が多い。そりゃあ、人が突っ立ってお客さんを待ち構えていたら近寄りづらいよね…。じゃあ雑誌を立ち読みしているサクラを置いてみようか?(笑)。タンスタのブースを見かけたらぜひお立ち寄りを!

イトウくん

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イトウくん

「人生最後の晩餐は何がいい」と聞かれたら、味噌煮込みうどんと正気で答える、愛知県出身ではないのに名古屋メシに熱狂する28歳。ロングツーリングといえば味噌煮込みうどんを目指す名古屋までが鉄板(あぁ名古屋に住みたい)。編集部内では年齢的に若手といわれているが、外見的には35歳前後といわれることもあり、焼き魚や煮物の食卓に心和む男にフレッシュ感は皆無。若いのかおっさんなのか微妙な年ごろである。

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