最近、ある記事を書くにあたって外国人強打者を比喩する表現が必要になったのだけれど、ボクは迷うことなく元阪神タイガースの主砲、ランディ・バースの名前を挙げた。「さすがにちょっと古すぎるかな…」と心配したけれど、とくに誰からも「なんで今どきバースなんだよ」などと野暮なことは言われなかった。さすがは史上最強の助っ人外国人だ。
冒頭から野球ネタになっているけれど、ボクは野球というものをほとんど知らない。ルールくらいは理解しているものの、観戦をしないのだ。でも小学生のころファミコンで『燃えろ!! プロ野球』というゲームを毎日1時間ほどやっていたから、そのソフト発売当時(1987年)に現役だった選手の名前・チーム・ポジション・背番号などは頭に叩き込まれている。逆に言うと『燃えろ!! プロ野球』に出てこない選手のことはまるでわからない。
ボクはゲーム中でタイガースを好んで使用しており、当時の4番で背番号44のランディ・バースは非常に頼もしく、4並びの打順と背番号はとても覚えやすかった。また、そのゲームは外国人選手の打力が妙に補正されていたのかバースがバットを振るとかなりの高確率でホームランとなるため、子どもながらその怪物っぷりに感動していたものだ。そのせいもあって、ボクの中で最強の外国人打者といえばバースだし、ゼッケン44といえばバースだったのである。
大人になったある日、友人とバイクのレースゲームをしていた際、マシンに好きなゼッケンナンバーを入力する画面になった。ボクは「バースにしよ」と、44を入力するとバイク好きの友人からすかさず「お、ラルフ・アンダーソン※か」と笑われてしまった。本当はバースだったんだけど、これはバイクのゲームだ。誤解されても仕方がない。冷静に考えるとバイクゲームに野球選手の背番号を入れる行為はおかしいと思い、その場はおとなしくラルフということにしたのだが、友人はボクに合わせる形で「じゃ、俺はグンな」と56と入力していた。彼の中ではグンvsラルフの対決が実現した瞬間なんだろうけど、グンの相手は実はバースだったんだと言い出せず気の毒なことをしたものだ。これからはバイクゲームなら46とか93を素直に入れるべきなんだろうなぁ…。
※バイクマンガ『バリバリ伝説』の主人公である巨摩 郡(グン)のライバル。ゼッケンナンバー44のYZR500を駆る。