「忙しい」「お金ない」。そんな言葉で避けていたことがある。
「洋服選び」だ。基本的に服はあまり買いに行かないし、興味がない。最後にいろいろとそろえたのは学生時代だったかな…。いくつか持っているし、困ることはなかったのだけれど、締め切り明けに着替えを忘れて関西に遊びに行ってしまったため、急きょ替えの服が必要になってしまったのだ。
そもそもなぜ洋服選びが嫌いかというと、女性服売り場の入りづらさにある。華やかな洋服売り場にパーカーのもっさい女がこそこそと紛れ込み、ひそひそと物色している。そのようすがさぞかし滑稽ではないかと想像してしまい、足が遠ざかってしまうのだ。さらに、勇気を出して店内に足を踏み入れた先に待ち構えている笑顔の素敵な店員さん。私には脅威にしか見えません。気を遣って声をかけてくれているのだろうけれど、首根っこをつかまれてお天道様の下に引きずり出されたモグラの気分だ。まぶしいからヤメテ。かといってまったく声をかけられないと、“オシャレじゃない女には声すらかけないのね、フーン”とひねくれた気持ちになってしまうからやっかいだ。
そんなもろもろの事情により、服屋に入るのが苦手な私。だけど3日間いっさい着替えなしで乗り切るのは不可能というか、不潔だ。そういうわけで、久しぶりに洋服を購入することになったのだ。
連れ添ってもらい、二人体制で向かった服屋さん。さぁどこからでもかかってこい!と意気込んでいたんだけれど、最近の服屋さんが変わったのか、お店によるのか、ずいぶんと入りやすい雰囲気になっていた。店員さんは必要以上に話しかけてこないし、かといって悩んでいればそっと手を差し伸べてくれる。いつも以上に安心してリラックスして洋服を選ぶことができたのだ。先入観からガチガチに緊張していたのがよくなかったのかもしれない。まだまだ私の服選びは楽しくなりそうな予感だ。次のステップは店員さんと仲よくなるだ!