今でこそバイク雑誌の編集をしていますが、ここに至るまで紆余曲折を経てきました。というのも大学生のときから『編集職』を希望し、4年生の就職活動は大手出版社を中心に動いていたのです。だがしかし、当時はどこにもひっかからず、就職活動戦線は終盤に…。当時、二輪系出版社も募集していたところは受験したのですが、撃沈…。そのため『どこでもいいから就職をして、そのうち転職すればいい』なんて考えて、不動産系の会社に就職。
だがしかし、やはりやる気というのは大事なもので、仕事内容は可もなく、不可もなくといったところ。誰かに迷惑をかけるわけではなかったと思いますが、かといって飛び抜けて業績がよかったわけではありません。2年ほど務めたころに、予備校で仲のよかった仲間がガンで亡くなり『生きているうちにやりたいことをやろう!』と転職を決意。もともとマンガとバイクが好きなこともあり、この二種類の出版社を目指して転職活動をスタートさせ、最終的に二輪雑誌業界に飛び込んだわけです。
それから最初に入った二輪系出版社から現在のクレタに移籍して早14年。その間、マンガは趣味としていろいろ読み漁っています。そんな僕が最近ハマっているのが『だがしかし』。内容を超おおまかに説明すると『駄菓子』のお話。なつかしくもあり、ついついハマってしまったわけです。子どものころ思い出しながら。
だがしかし、時代の流れもあり、子どものころに自宅周辺にあった駄菓子屋さんは絶滅…。『だがしかし』に登場した駄菓子の一部はコンビニで入手できるのですが、記憶に残る駄菓子屋さんという空間で入手するのは無理だろうと、寂しい思いをしていたのです。
だがしかし、先日取材で静岡県富士宮市にあるサーキットを訪れ、帰りに富士宮焼きそばを食べて帰ろうという話に。そのとき同行のSカメラマンのお勧めのお店がまさに昔からある駄菓子屋さんだったのです。扱う駄菓子の点数は少ないものの、懐かしの駄菓子が!?
お店のおばさんにいろいろ話を聞いていると、そもそも駄菓子屋というのは鉄板が置いてあることがマストだそう。僕の頭には鉄板がないのでちょっとびっくりしました。僕が子どもだったころよりも昔は(現在僕は39歳)、ある意味『社交場』だったそう。娯楽の少ない時代で、大人は鉄板で焼きそばやお好み焼きを焼き、それを肴に大人がいっぱいひっかける。大抵子どもも連れてきて駄菓子を食べながら時間をつぶしたそう。
そんな知らない話に耳を傾けながら、ノンアルコールビールを片手に鉄板で焼かれた富士宮焼きそばとお好み焼き、しぐれ焼きを3人のオジさんでつつきながら有意義な時間をすごせました。マンガの編集者も機会があればやってみたいと思います。だがしかし、さまざまな場所・お店を訪れ、いろいろな人に出会えることのできる二輪雑誌編集も魅力的だと再認識した1日でした。もちろん懐かしの駄菓子もゲットしましたよ。