普段は電車で通勤しているが、締め切り前に会社に泊まり込む直前は決まってバイクで会社に向かう。着替えなどの荷物を持っていくのがラクということに加えて、そのまま会社に置いておき、締め切り後の缶詰め状態から解放されてバイクに乗るのが最高に気持ちいいのだ。
前号を作り終えたときも、いつものようにバイクは会社の地下駐車場にあった。もう早く走りたくてうずうずしていたし、翌日には福島へのキャンプツーリングが控えている。新品のタープを試して、あと焚き火台も持っていこう…、じゃあどうやってパッキングしようかと楽しい妄想が膨らむ。仕事から解放され完全に有頂天だった僕は、ご機嫌そのものでバイクを駐車スペースから動かそうとした。
しかし、なぜだか重い。あれ、こんなに取りまわししづらかったっけ? しばし立ち尽くしてしまった。これがパンクというやつか?とタイヤを見てもクギが刺さっているとか、タイヤの空気が抜けているようには見えない。これまでとくに車両のトラブルに見舞われたことがなかったから、“気のせいじゃないか”とも思えてくる。会社に泊まり込んで感覚がバカになったんだよ、うん。そう自分に言い聞かせようとしたところに、サブローが「それパンクしてるよ!」と…。やっぱり自分の感覚には素直に従うべきである。
さっきまでの高揚感はどこへやら、電車で帰って明日のキャンプもナシだなとあきらめムードに。しかし、そこに編集長、やたぐわぁが登場。自分でやってみるか?と聞かれたが早く帰りたかったのでお願いした(笑)。その手際のよさは実に見事で、パンク修理キットを使ってササッと完了。おかげで翌日は無事にキャンプを楽しめた。とっさのトラブルに対応できるかどうかで、その後の過ごし方が変わる。何かあったらレッカーサービスに頼ればいいと思っていた僕はその大切さを痛感したのだった。