学生時代、ボクはガソリンスタンドでバイトをしていて、そこにはメカ好きの先輩が多く、彼らは当時ボクが乗っていたホンダ・ジョルノの整備をよく手伝ってくれた。先輩の一人、『シャクティ』と呼ばれていたタカハシ先輩(アダ名の由来はググらないで!)は面倒見のいい男だったんだけど、少々いい加減な性格で作業も雑だった。ある日シャクティがボクのジョルノのタイヤ交換をしてやると言ってくれた。
素人目にもシャクティの作業は不安だったけれど、なんとか終了。彼が自信に満ちた顔で大丈夫というのでとりあえず信用し、新タイヤに交換した数日後には大学の友人3名(全員50㏄)とツーリングに出かけた。しばらく走っていると後ろにいる友人が「なんだかジョルノのエンジン音、うるさくないか?」と言い始めた。確かにそんな気がした。でも原因が全然わからなかったのでとりあえず走り続けることに。するとすぐにまたその友人が「ジョルノが路面の段差を超えるたびに音がデカくなっているぞ!」と言うのでさすがにこればおかしいとみんなで原因究明の作業にかかった。
原因はシャクティだった。ジョルノはタイヤ交換をする際にサイレンサーのボルトを外し、交換が終わったらまた取り付けるんだけど、そのボルトがない。支えるモノがなくなったサイレンサーが走行中にグラつき、根元のエキパイが耐えきれずに折れてしまったようだ。かろうじてまだつながっていたので、サイレンサーのボルト穴を針金で固定して応急処置。さらに友人の一人がどっかから拾ってきたボロ切れをエキパイに巻き付けて「これと針金を使って穴をふさごう!」と言い出した。まともな人間がいればツッコミが入るところだけど頭の悪い学生3人は「それは名案だ」と作業に取りかかった。
ちょっとだけ音がマシになったのでツーリング再開。しばらく走るとまた後ろの友人が叫んでいる。耳をすますと「火の玉が飛んでくる! 危ねぇ!」と言っているようだ。停車して確認すると、ボロ切れが燃え尽きていた。後ろを走っていたのは友人だけだったので事なきを得たけれど、友人はマリオのファイアーボールを次々と投げつけられているようだったと興奮していた。
こんな感じで初めて買ったジョルノは思い出がいっぱい詰まっていたんだけど、ボクがバイクを乗り替えるときに、妹が原付免許を取ったのでゆずってやった。すると数ヶ月後に妹から連絡があった。「ごめん、エンジン壊した…」と申し訳なさそうに。聞くとジョルノが2スト(現行のジョルノは4スト)だと知らず、エンジンオイルの継ぎ足しをせずに延々と走り続けたというのだ(※)。結局ジョルノは廃車。妹は2ストに懲りたのかリトルカブを買い直した。
※2ストエンジンはは4ストと違い、エンジンオイルを燃やして稼働しているため、定期的にオイルを継ぎ足さなければ潤滑不良で破損する
ボクと妹(とシャクティ)で散々な目に遭わせてしまったジョルノには本当に悪いことをしたと思う。でもあのバイクのおかげで整備の重要さやツーリングの楽しさをたくさん教えてもらった。やっぱりライダーにとって初めてのバイクって特別な存在だよね…。と先日、ホンダのHPで現行ジョルノのカタログを見てそんなことを思い出したのだ。っていうか今のジョルノってこういう路線なんだ…。気になる人はアクセスしてみてね。
by やま2020/4/20 02:34
高校1年生の時、16になると周りの友人は急いで原付免許を取りに行った。自分は電動自転車があるしまだ誕生日が来ていないからいいかととりに行かずにしばらく自転車に跨っていたのだが友人達はツーリングや普段の足として原付に乗っていた。そんな姿を見て少し興味を持ち友人の一人にエンジンを掛けさて貰えるように頼んだら、走行は不可だが掛かるだけならOKが貰えた。友人のバイクは周りが2ストロークのライブDIOZXやJOGZRなどに乗っていたが4ストロークのJOGだった。鍵を少しひねりブレーキを握りセルを回す、この簡単な動作に動揺しまくりだった。エンジンがかかると自転車には無いシートから伝わるエンジンの振動がよく分かり、ハンドルを捻ると50ccだが頼もしいエンジンが伝わった。そこから自分も原付に乗りたい!と免許を持っていない友人に連絡をして、親の反対を無視して急いで取りに行った。あっさり取れた後は友人の乗り換えのためJOGを譲ってもらいツーリングや禁止をされている学校への通学などに行った。ある日、地元の友人と出掛けている帰りにJOGのマフラーから異音がした。バッバッとたまに息をつくように音がして不安だった。大丈夫だろうと思い走らせて数十メートルでエンジンは止まってしまった。急いで家の近所のバイク屋に連絡をして引き取られ自分は代車に跨りバイトまで帰った。後日、修理をするか廃車にするかバイク屋に相談された。大したトラブルでは無かったようだが、もう少し頑丈なバイクに乗り換えようと思い。そのままバイク屋に売却を決めた。買取金額は5万5千円で意外と高く引き取られた。
しばらくバイクに跨らずに自転車に乗りながら何にするか悩んでるいるとDIO ZXを売ってやろうか?俺のJOGはもう要らんとの友人から連絡が絶えなかった。理由は18になり中型バイクに乗るからだ。絶対に意地でも買ってやらんと思いバイク屋に通い続けるとバイク屋のおっちゃんが一台のバイクを勧めてきたスーパーDIO ZXだった確かに周りに乗っている人間は少ないし、昔乗っていた4ストJOGのように皆んなから置いて行かれる事は無くなるだろうと思い即決で購入した。
今でも元気に走り、友人が次々と原付やバイク離れをしていく中で台風の日でも大雨でも周りが車移動でも自分の足はずっとDIOだった。かなり頑丈で実家に居た時に母が買い物用で乗りこけようが、外装がボロボロになろうがずっと走っていた。なんとなく眺めていると思い出が蘇り家族に反対されつつ持って帰り外装の交換、清掃などを施し今も元気に走り回っている。20年以上生産されてから経っているがこれからも元気に走ってもらい思い出を作りたい。