千葉の新名産

ハナからネタをバラしてしまえば千葉石(ちばせき)である。千葉県で新種の鉱物が発見され、それが先日、学術的に認められたのだ。

千葉県出身のボクが言うのもなんだけど、千葉の名産は?と聞かれて思い付くのは「落花生」ぐらい。まぁ、限りなく東京に近い湾岸地域にはアメリカ生まれのネズミの国があるけど、あれは神奈川でも埼玉でもどこにあっても同じようなものだしねぇ。だいたい千葉なのに「東京」なんて冠が付くしさぁ…。あとは「ヨード」かなぁ。ヨード卵、ヨードチンキ、化粧品なんかにも使われるモノだけど、千葉県の南部の地下には昔の大昔海藻が大量に沈殿してできた層があり、そこに大量のヨードが含まれている(ちなみにこのあたりは天然ガスも豊富なのだ)。だいぶ前に書かれた書籍だけど、千葉県のヨード産出量は日本どころか、世界シェアの約40%を占めているという話も読んだことがある。もはや、落花生とは比べられないほどのシェアである。えっへん。どうだスゴイだろ千葉! …って言ってみたが、書いていて何だかコチラが切なくなってきた。まぁ、このネタはすごいけどあまりにマイナーすぎるよな…。

さて千葉の新名産「千葉石」。何かというと平たく言えば水晶の一種。水晶の結晶が形成される途中で、メタンガスの分子をその分子構造の中に封入するような形で取り込んでいる石だ。一例目は90年代後半に見付かっていたが、近年もう一例が同産地発見され、「そういう生成過程で生まれる石が千葉県で取れる」ということが学術的に認められたというわけ。メタンガスを封入した水晶が学術的に認められるのは世界的で2例目だというからかなり貴重な存在であることは間違いない。

それにねぇ、ボク自身鉱物採集が好きで、ことあるごとに目的の石をバイクで拾いに行ったり、ついつい旅先でも地面の石が気になってしまう“石っ子”なんだけど、千葉県って鉱物好きからするとあんまり魅力のない地域なんだよね…。一応、ダイヤモンドが産出するとしたら地質学的に国内では千葉ぐらいと言われているけど発見された例はないらしいし、ムーンストーンという宝石になる石も見付かったとか、見付かってないとかで、「岩手の琥珀」とか「茨城の鉄ばんざくろ石」みたいに、「コレだ!」と全国に誇ることができる(?)決定的な鉱物に欠ける。

それが今回、千葉石が発見されたことで、県内の鉱物マニアは「うちには千葉石がある」と胸を張って言えるようになったってワケ。いやむしろ、この千葉石、もはや千葉県が他県に誇る新たな名産といっていいでしょう! だって、某ネズミの国は世界に何ヶ所もあるけど、水晶にメタンが封入された石は世界で2例目ですよ! あのネイチャー誌(電子版)にも取り上げられるほうどのニュースですよ! ここはひとつ「ちば石くん」とかの、ゆるキャラで大々的に全国に売り出していくべきだと思うのですよ! …え? ダメ? 惹かれない!? ああそうですか…。

追伸 この千葉石、県立の中央博物館(千葉市中央区青葉町955-2)で今年6月12日まで展示されているそうだから、興味のある方はぜひ「千葉石」の産地、千葉県に!

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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