子どもの頃、「無人島で暮らしたい」という内容の作文を書いたことがあった。当時の自分としては、壮大なロマンを見事に書ききったつもりだったが(笑)、それを読んだ女の先生は、私の考えを明らかに心配している表情を浮かべ「無人島ってあなた…電気もガスも水道もないんだよ、暮らせる? 」とひきつり気味の笑みを浮かべ、それに対してわたしはキョトンと首をかしげた記憶がある。
あれから30年以上も経った先日の早朝、突然家中の電気が消えた。停電である。キョトンと首をかしげ…ないですね、やっぱり慌てました、相当(笑)。ブレーカーのツマミをイジっても変わらないし、地域の停電情報を見ても該当なし、近所で騒いでいる様子もなし。で、電力会社に問い合わせると、漏電と言われ、一時間くらいで来てくれるとのこと。ひとまずそれで安堵し、深呼吸をしに庭に出てみると…「!」池の濾過装置が倒れて水没していた。急いで池から引き上げると同時に家中の電気が復活。「こ、これかぁ~!!」再度電力会社に電話し復旧したことを報告し、一件落着となった。「朝っぱらからやってくれるじゃないの~」と、濾過装置を倒したと思われる池のカメをジロリとにらむと、カメはいつものように首をもたげ、「フー」とゆっくり大きな鼻息をかけてきた。のん気なものであるが、池の生き物はみんな無事で一安心である。しかしこうしてみると、電気のお世話になっていることが多いこと多いこと。だいたいガスや水道だって電気のスイッチでオン・オフするものは電気が止まってしまった時点でアウトである。東日本の震災のとき、室内の水槽に不安を覚えたのがきっかけで作った庭の池ですら、いつの間にか濾過装置を使用しはじめた時点で電気の恩恵にあやかっているわけで、便利な方向についつい進んでいってしまう自分にちょっと情けなくなるが、今回を機にもう一度非常用の備えを改めなきゃダメだなあと思った次第である。
…ふと、昔の自分が書いた作文を今読んでみたくなった。もちろん作文は残っていないし、内容も記憶にないし、どうせ大したことも書かれていないんだろうけど(笑)。どんなこと考えていたんだったかな~あのころの自分は。