発生から10日以上が経つものの、今でも震度5クラスの余震が続きまだまだ予断が許されない状況の東日本大震災。明日発売のタンデムスタイル最新号の編集後記でも書いていますが、被害の比較的少ない東京でさえ、当日の揺れやこんなときに的確な行動が取れない自分自身にすごく無力さを感じてしまった。そんなボクの気持ちを察したかのように友人から外出の誘いが。行き先は都内の神社7ヶ所。パワースポットめぐりをしようと、強引に腕を引かれ付いていくことになったのだ。
ボクは〆切後の気持ちの切り替えも兼ねて軽い気持ちで付いていったのだけど、友人はパワーをもらって地震による雰囲気を少しでもいい方向にしていきたいと考えているようで、「完遂できれば何か願いごとがかなうかも!」なんてことまで期待しているようす。このパワースポットは全国規模でにぎわっていて、検索すれば有名無名に関わらずたくさんの地名や神社仏閣が挙がる。東京でも案外その数は多く、しかも繁華街やオフィス街といわれるおよそ想像もつかないようなビル群のど真ん中に構えているところもあって、聞いたことのある名前が頭の中の地図と重なっていくと、「こんなところにあったんだ!」という発見があってすごく楽しい。あと、地下鉄で移動したというのもそういう気分を盛り上げてくれたと思う。バイクだと徐々に景色が変わっていくのは見えてもガラッと雰囲気が変わるというようなことはめったにないけど、地下鉄は地上に出て初めて景色が目に映るから知らない街ほど強いインパクトを与えてくれるんじゃないかな。
もう一つ街の印象をガラッと変えていたものがある。ネオンだ。東京23区内は計画停電の範囲には入っていないのでもちろん自主的に行なわれているものだけど、供給量や停電地区のことも考えれば節電するのが“当たり前”と思っていた。街を歩いてみれば日が沈んでも看板やネオンには落とされたまま、休日なのに人が少なく(雨だったのでその影響もあるだろうけど)街全体が静まり返っているようだ。飲食店なんかでもひょっとして営業していないのではないかと思えるようなところもちらほら。しかし、実際にそういった光景を大都市・東京で見てしまうとかなり違和感を覚えるとともに、ダメージの深刻さが直に伝わってくる。
そこで考えてしまうのがやっぱり「復興」ということ。募金や物資を被災地の人たちに届けるのはもちろん大切なことだけど、幸運にも被害に遭わなかったボクたちがそのためにすべきことって一体なんだろうか。復興を支えるには経済や流通を途切らせないよう、自粛するだけでなく、ときにはギリギリまで動いたり働かないといけないのでは。そのためにまずは目の前のことを、そして少しずつその範囲を広げていきたい。何事にも動じないと思っていた東京のいつもと違う姿を見て、そんなことを感じさせられた。