ノートパソコンのバッテリーが、なぜか充電できない状態になってしまいました。それまでは当然ながらバッテリーだけでも起動できたので、起動中にコンセントから抜いたって大丈夫。買ったばかりのころはそのまま数時間は使えました。ところがだんだんと使用できる時間が短くなっていき、ついに「プラグをコンセントに差していないと使えない」という状態に…。今では、うっかりコンセントから抜いた瞬間「ピキューン…」という悲しげな音とともに、パソコンは強制シャットダウン。いやぁ、ノートパソコンのくせに、扱いが難しいヤツになってしまいました。
で、そのように突然電源が落ちることがよくないのでしょうね。再び電源を入れると、時計の設定がとんでもないことになっているのです。なんと、「1970年1月1日午前9時」にタイムスリップ! 強制シャットダウンから復帰すると、ボクのパソコンは必ずこの時代にタイムスリップすることになってしまいました。「うわぁ、メンドくさいことになったなぁ…」と思いましたね。「うっかりコンセントから抜いちゃったら、パソコンを立ち上げるたびに時計を設定することになるのか…」と。
でも、ふと思ったんです。ボクのパソコンはなぜ、いつもこの時代に戻るんだろう。この年にはどんなことがあったんだろうと。まぁ、調べてみるとこれにはちゃんとした理由があって、コンピュータって1970年1月1日を基準として、その日からの経過時間で時間を管理しているらしいんですね。別にいつもいつも、ボクのパソコンがこの時代を選びだしているわけではなくて、そういう設定になっているということ。
でも、せっかく「1970年」という時代に出会ったのですから、この時代のことを知ってみたくなったんですね。ツーリングだって、トラブルに出くわしたときに視点を変えてみることで楽しむことができたりするじゃないですか。「迷ったけど、この迷った先で観光しちゃおう」みたいな。せっかく出会った1970年。何かの縁があるのかもしれない…というわけで、調べてみました。はたして1970年とは、どんな年だったのか? どんな出来事があったのか? プレイバック! 1970!
調べてみて、まずもっとも大きなニュースだろうなというのが「大阪万博開催」ですね。ボクの生まれる前のことなので当然ながら記憶はないんですが、テレビの「懐かし映像」などの番組で見たことがあります。岡本太郎の「太陽の塔」でしょう? 三波春夫が「こんにちは〜、こんにちは〜」って歌ってたんでしょう? こんな時勢だからこそ、明るいニュースがとても光り輝いて見えます。
それ以外にも明るいニュースはたくさんありました。たとえば「初の国産人工衛星『おおすみ』の打ち上げ成功」というニュース。あぁ、この時代から宇宙開発は格段の進歩を遂げてますよね。着実に着実に、努力が進歩に結びついている。なんだか勇気が出てきました。そして、そのほかのニュースとしては…。
「後楽園球場に、全電光スコアボードが完成」
ウフフフ。なんだかほほえましいなぁ。
「キヤノンが、国産初のコピー機を発売」
へぇ〜。当時はどのくらいのニーズがあったんだろう。
「植村直己がエベレストに登頂」
そういえばボク、植村直己の伝記を持ってました。スゴい人なんですよねぇ。
「ソニーが、10万円を切る電卓を発売」
アハハハハ、電卓が10万円って! しかも「10万円を切った」なんてことがニュースになるなんて! おいおいパソコンよ、もしかしたら「昔はこういう時代だったんですよ?」とでもアピールしたいのか? 「アンタは文句ばかり言うけど、もしもワタシがこの時代に行ったらねぇ、国家機密レベルのスーパーコンピュータですよ!? いかにスゴいツールを使ってるかわかってるんですか!?」とでも言いたいのかもしれません。うんうん、確かにそうだよなパソコン君。ボクもときどき「膨大な情報に恵まれているのか、ただ単に振り回されているのか」がわからなくなるよ。
…とまぁ、1970年にはいろいろな話題があり、いろいろと考えさせられました。パソコンの調子が悪くなったのは、もしかしたらコイツからのメッセージなのかもしれないなぁ、なんてことも考えましたね。今、未曾有の大災害に見舞われたボクらに、メッセージを届けたいのかもしれない…と。とくにそれを強く感じたのは、1970年のトピックスのなかに、こんなものがあったから。
「ビートルズが『Let it be」をリリース」
私が悩んでいるとき
聖母マリア様が現れて
聡明な言葉をかけてくださる。
「あるがままに」
…う〜む…。『Let it be』の歌詞を眺めていて、ボクは本当に、大震災以来、悩んだり落ち込んだりしているボクらに、パソコンが「1970年」というヒントをくれたのだと思いました。
暗黒のなかにいるときも。
傷ついた人々も。
レット・イット・ビー。
あるがままに。なすがままに…か。
暗い夜が訪れても、まだ私を照らす光がある。
きっと答えは見付かるだろう。
レット・イット・ビー。
あるがままに。なすがままに…。