愛車のメンテナンスの中でも、最もポピュラーなジャンルであるエンジンオイル交換。でも交換時期やオイルの選び方にはちょっとした「落とし穴」があります。一般的に言われる交換時期を迎えていなくても、劣化してしまっている“隠れオイル劣化”があるのです。交換時期、そしてオイル選びをオイルのプロであるelfさんに教わりましょう。その効果は全日本ロードレースでも活躍している岡崎静夏さんが検証してくれます!
文:舘岡 重光
エンジンオイルの役割と特性を知っておこう!
暑い、暑い夏。例年に比べても気温が高い、猛暑の過酷な夏となった。これはエンジンオイルにとっても過酷なもの。性能の劣化が心配される状況だ。
気温や季節とオイルの関係の前に、エンジンオイルの役割についてざっとおさらいしておこう。エンジンオイルはエンジン内部に油膜を作り、保護をしてくれる存在だ。お仕事の内容もざっくりと説明しよう。
- 【潤滑】部品の動きを滑らかにする。
- 【冷却】エンジンが高温になりすぎるのを防ぐ。
- 【洗浄】エンジン内の汚れを吸収する。
- 【防錆】サビないようにしてくれる。
- 【密閉】部品同士の隙間を塞ぐ。
- 【ミッションの保護】多くのバイクはミッションにもエンジンオイルが回っていて、保護してくれている。
こんなに働き者のエンジンオイル。ありがたい存在だ。ただし、これらの仕事を正しく行うために「温度」が重要になってくる。エンジンオイルは外気温に影響されるという事実だ。温度が高くなり過ぎると粘度(硬さ)が柔らかくなってしまい、油膜が薄くなってしまう。つまり“油膜で保護する”という大前提に大きな影響が出てしまう。もちろん、こういう状況下で使用されるエンジンオイルは熱による性能劣化も激しくなる。エンジンの回転数を上げるかどうか、という問題ではないのだ。
オイルに影響を与える外気温は思ったよりも過酷!
外気温は意外と高温になっている。気象庁が発表する気温は、百葉箱の中という、とても良い条件で計測されているもの。それでも今年は35℃を軽く上回る数字が並んでいた。これが実際にアスファルトの照り返しを受けると、さらに高温になる。写真の温度計は30℃ほどの発表があった日のもの。それでもアスファルト付近は32℃付近にまで上昇する。同じく30℃発表の日に少し走った後のエンジン付近を計測したところ、34℃付近まで上昇した。どちらも車通りは割と少ない細い道だったので、大通りとなるとさらに上昇するはずだ。 他車のエンジンの熱が伝わる渋滞や停車時は、さらなる高温になっていく。このような過酷な状況にあったオイルは早くに劣化している可能性が高い。秋にさしかかる今こそオイル交換の時期だと言える。
外気温に対して適しているオイル粘度を知ろう!
オイルをフレッシュにすると得られる感触、オイル選びにこだわって得られる感触
8月の月末まであと数日というタイミングで、岡崎静夏さんはオイル交換を行った。交換をお願いするラフ&ロード川崎店へ、YouTubeの動画で静岡県・沼津市へツーリングで走ったCBR1000RR-R FIREBLADEに乗ってきた岡崎さん。さすがプロライダー、交換前の感触をしっかりと記憶してきてくれた。
早速、オイル交換の作業入っていただく。オイルの抜け方をチェックすると、かなり粘度が低くなった“シャバシャバ感”がある。暑い夏と戦ってくれたのが見て取れる。
今回選んだオイルは、モト4テック10W-50だ。まだ暑さが続くと予想されるため、高温側を意識した粘度50をチョイスした。
いざ、テスト走行!
交換作業が終わったら、早速走ってもらった。下道だけで約20キロの走行なので、高回転まで回してはいない。ツーリングで使用される範囲と言える。そこで最初に岡崎さんが驚いたのが「エンジンがグイッと引っ張ってくれる感じ」というもの。ちょっと難しく表現すればエンジンのピックアップが向上したということ。回転が低いところからスロットル操作に応じて、パンッ! と加速してくれる感じだ。交差点で曲がった後などに気持ちよく、思い通りにコントロールできる感触である。
そしてエルフオイル全般に言える“シフトタッチの良さ”である。特にローギア、セカンドギアに入れる時に表れることが多い。「ガッ、ガン!」というような感触。愛車に感じたことはないだろうか? これがエルフオイルを使用すると「コン」というような滑らかな音と感触になるのである。どちらかと言えば、このシフトタッチが誰で感じられる“オイルの違い”かもしれない。
ここでは感想を抜粋して引用しているので、実際の細かな表現や感想は動画にて確認してほしい。
elf MOTO 4 TECH 10W-50の効果を検証!
オイル選びにもこだわってバイクライフを楽しもう!
岡崎さんの感想にあった「シフトタッチの差」は、実はオイル選びにこだわったからこそ得られるもの。特にエルフオイルの場合は、この上質なシフトタッチが長く持続してくれるのがポイントだ。
もちろん、パワー特性やトルク特性などといった部分も楽しみのひとつ。今回はハイパワーな1000ccのスーパースポーツだったのでわずかな感触の差だったかもしれない。岡崎さんの鋭敏な感性には、非常に大きな差だったのだろうが、パワーの小さい車両ほど、この印象は大きくなる傾向にある。排気量の小さいバイクだから「こだわらなくても良い」というのは、ちょっと損をしてしまう。
エンジンオイルにもこだわって、上質さを感じることもバイクライフの「ひとつの楽しみ」である。ぜひ、こだわる楽しさを味わってみてほしい。
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