現代のテクノロジーとレトロスタイルが融合
60年代を代表するカワサキの名車「W」。このイメージを現代に復活させたモデルとして、99年にW650が登場。空冷並列2気筒エンジンを搭載し、クラシカルな外観とともに高い人気を博した。W800は、その後継モデルである。
基本的なシルエットはW650と非常によく似ているが、車名が示すとおり排気量がアップされ(675cc→773cc)、燃料供給装置にはFIが採用された。ノーマルの美しいデザインを楽しむのもいいし、いかにもオートバイらしいデザインをベースにカスタムするのもいい。ここで紹介しているモデルもノーマルではなく、オプションパーツのビキニカウルとシングルシートを装着した“カフェスタイル”だ(ちなみにカウルとシートのセットで8万3,000円)。どんなスタイルにするにせよ、W800はオーナーの所有欲を満たしてくれる1台といえるだろう。
DETAIL
RIDING POSITION & FOOT HOLD
●ライダー:身長178cm/体重78kg
車体が全体的に低い印象で幅広なバーハンドルということもあって、タンクの上あたりに広い空間があるよう。おかげでハンドルも切りやすく取りまわししやすい。ステップが比較的低い位置にあって足も置きやすい
ハンドルをにぎるため座る位置は前の方になったけど、奥まで深く腰を落としてもヒザに余裕が残るくらい足つきに不安を感じることはない。加えて重心が低くバランスも取りやすい。またがったまま落ちたグローブを拾うこともできた
●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートをスタンダードタイプに変更した状態。座面はほとんどフラットなので後ろから圧迫されるかなと思ったけど、シートが縦長なので同じポジション位置のままでも、ほとんど干渉することはなかった
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
厚みのあるタックロールシートには弾力があって、座り心地は良好。ステップに足を置くと、ヒザが自分の腰よりやや下がり気味になるため、ライダーの腰を両脇からホールドしておくことはできないが、とくに不安は感じない
COLOR VARIATION
SPECIFICATIONS※[]のデータはスペシャルエディション
- 全長×全幅×全高
- 2,180×790×1,075mm
- 軸間距離
- 1,465mm
- シート高
- 790mm
- 車両重量
- 216kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHC 4バルブ 並列2気筒・773cm3
- 最高出力
- 35kW(48ps)/6,500rpm
- 最大トルク
- 62N・m(6.3kgf・m)/2,500rpm
- タンク容量
- 14L
- 価格
- 85万円[88万円]
STAFF’S IMPRESSION
意外なほどスムーズな乗り味
800ccの並列2気筒ということで、「ドコドコドコッ!」というフィーリングかと思いきや、意外にも「ドリューン」と気持ちよくフケ上がる。わざと低速ギヤで高回転まで引っぱるような走り方をすれば振動を感じるけれど、普通に走っている分にはスムーズで乗りやすい。「激しい鼓動感が味わいたい」という人にとっては拍子抜けに感じるかもしれないが、それほど乗りやすいバイク。ビッグバイクビギナーにもオススメできるモデルだと思う
旅で差が出るオールラウンダー
純然たるクラシックなスタイリングとは裏腹の、ビュオオオオとよく回るエンジンが特徴的なこのバイク。650よりも排気量は大きくなったが、バーチカルなパルスはちょっと弱くなった印象だ。とはいえ、このよく回るエンジンが非常にラクチンで、とくにツーリングでの使い勝手がすごくいい。高速、一般道、ジャリ道とオールマイティにすべての道をソツなくこなす、オールラウンダー。800ccながら燃費が21.8km/L(実走)というのもいいね。
扱いやすいエンジンフィールが魅力
先に今回試乗したのは、ウインドスクリーンと小型エンジンガード、リヤキャリアを装着したモデルであることを断っておく。まずエンジンの特性だが、アイドリング時の静寂性に少しばかり驚かされた。2,000rpmを超えたあたりから、ドコドコとしたフィーリングが大きくなり、そのフィーリングが4,000rpmあたりまであるが、さらに回転数を上げていくと、再びドコドコ感がなくなるのだ。基本的にスムーズな特性といえるだろう。