伝説の称号と乗りやすさが融合
CB1100の注目ポイントは、なんといってもエンジンだろう。CB750Fourがこの世にデビューして以来、脈々と受け継がれてきた並列4気筒エンジンが搭載されているのだが、冷却方式にあえて空冷を採用しているのが特徴だ。これにより、限界性能の高さではなくルックスやテイスト、所有感などの要素を高めている。出力特性は中・低回転域を重視し、アクセルのレスポンスもマイルドに設定されている。1,140ccという大排気量車ではあるが、ビッグバイクビギナーにもやさしいモデルといえるだろう。
しかし、“やさしいだけのバイクではない”というのもCB1100の大きな特徴なのである。“CB”という称号、“空冷4発”という言葉の響き、いかにもバイクらしいオーソドックスで飽きの来ないデザイン…。現代の技術と伝統を融合させた、ホンダ渾身のモデルがCB1100なのだ。
DETAIL
RIDING POSITION & FOOT HOLD
●ライダー:身長178cm/体重78kg
上体はかなりゆったり構えられる反面、シートの前寄りに腰を下ろすとヒザのあたりがほんの少しきゅう屈な印象。ニーグリップは幅広な燃料タンクを真横からはさむようになるので、足を閉じきれず初めは違和感を感じていたが、しばらく乗っていれば気にならなくなった
ビッグバイクということを考えれば足つきはかなり良好。まっすぐ足を下ろすとステップやシフトレバーが足に当たるので、少しずらすことになるけど、両足ともカカトが着くうえにヒザを曲げるだけ余裕がある。ハンドルから両手を離してもバランスをくずさず立っていられる
●ライダー:身長178cm/体重78kg
ほぼフラットなシートだけど、タンデマーがつかむシートのベルト部分に段差があるので、タンデマーが座っても干渉されることなくゆったり構えられた。車体のバランスも取りやすいので乗り込むときにふらつくこともなかった
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
テール側がやや細めにすぼまるような形状で、広々としたスペースとはいかないが、適度な厚みと硬さで座り心地は良好。ただ、グラブバーが付いていないことと座面のことが相まって、走行中はやや心もとない印象がある
COLOR VARIATION
SPECIFICATIONS※[]のデータはABS
- 全長×全幅×全高
- 2,205×835×1,130mm
- 軸間距離
- 1,490mm
- シート高
- 765mm
- 車両重量
- 243[247]kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークDOHC 4バルブ 並列4気筒・1,140cm3
- 最高出力
- 65kW(88ps)/7,500rpm
- 最大トルク
- 92N・m(9.4kgf・m)/5,000rpm
- タンク容量
- 14L
- 価格
- 99万7,500円[107万1,000円]
STAFF’S IMPRESSION
こんな1,100cc、初めてだ!
ビッグバイクは、たとえば高速道路とか高めの速度域でこそ本領発揮するというイメージがあるボク。しかしCB1100は、普通に、もう本当にごく普通に40~50km/hぐらいで走るのがすごく気持ちいいのだ。初めて乗ったときは「こんな1,100ccがあったなんて!」と大感動してしまった。ビギナーにも気負わず乗れて、低速域が気持ちよくて、なおかつステータスやテイストもある。こんなビッグバイクって、今までありそうでなかった。売れているのも納得。
新しいけどどこか懐かしいバイク
エンジンをかけた瞬間の音がいい。ゴウゴウとかウォンウォンという、うなるような通奏低音に、空冷独特のフィーリングを感じる。走りはすべてがほどよく、そこはかとなくジェントル。そう、このバイクには紳士的という言葉がよく似合う。しかも、すべてがほどよくありながら、しっかり、余裕を持ってすべての所作をこなせるイメージなのだ。決してやんちゃな走りができないワケじゃないけど、自然とゆったり余裕をもって走りたくなってしまうような落ち着いた雰囲気がこのバイクにはある。
空冷らしいゴリゴリした感覚が魅力
乗り出してすぐに感じるのが、スムーズなスポーツモデルとはひと味違うエンジンのフィーリング。空冷らしいどことなくゴリゴリした感覚は、空冷並列4気筒バイクを走らせていることを、否が応でもライダーにわからせてくれる。ハンドリングもニュートラルでクセはなく、非常に乗りやすい。ブレーキの制動力も必要にして十分だといえる。足つき性もよく街中をトコトコ走るのからワインディングをスポーティに走らせたりと幅広く楽しめるだろう。